農業研究本部

ハスカップ新品種「ゆうふつ」の育成について

田中 静幸、柿崎 昌志、渡辺 久昭、峰岸 恒弥、松井 文雄、村松 裕司、小賀野 隆一、成田 秀雄、岩崎 暁生

北海道立農試集報.67,29-41 (1994)

 「ゆうふつ」は1967年に苫小牧市沼の端から収集保存したハスカップ(和名:クロミノウグイスカグラ、Lonicera caerulea L.var.emphyllocaryx Nakai)自生株の中から1986年に選抜し、1990年3月に北海道の優良品種に採用され、1992年1月に種苗登録された。株は開張し大きく、株は密生する。発芽期は4月上中旬、満開期は5月下旬、果実の着色始期は6月中下旬である。収穫始期は6月下旬~7月上旬で早生品種である。自家結実率が比較的高く、自然受粉による結実も良好である。成株の収量は約1,900g/株で、「在来1号」「在来3号」及び「在来4号」より優る。果重は約1.1g/果で、「在来1号」と同等で「在来3号」及び「在来4号」より優る。果実は青黒色で長円形または銚子形で軟かく、果皮は薄い。果汁糖度は「在来1号」、「在来4号」よりやや低いが、酸含量及び種子数は少ないことから、ジャムなどの加工に適すると考えられる。栽培適地は全道一円である。


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