農業研究本部

ダイズ新品種「トヨホマレ」の育成について

湯本 節三、松川 勲、田中 義則、黒崎 英樹、角田 征仁、土屋 武彦、白井 和栄、冨田 謙一、佐々木 紘一、紙谷 元一、伊藤 武、酒井 真次

北海道立農試集報.68,33-49 (1995)

 「トヨホマレ」は、北海道立十勝農業試験場で、対冷性が強く安定多収ならびにダイズシストセンチュウ抵抗性強の白目品種の育成を目標とし、1983年に耐冷性の褐目多収品種である「キタホマレ」を母、ダイズシストセンチュウ抵抗性の白目系統である「十育206号」を父として人工交配を行い、以後、選抜、固定を図った。1990年にダイズシストセンチュウ抵抗性は弱であるが、耐冷性が強い白目系統に「十育220号」の地方番号を付し、同年から生産力検定試験等に供試し、1991年から道内各地の奨励品種決定現地調査に供試した。  その結果、1994年に北海道の奨励品種に採用されるとともに、農林水産省の新品種に認定され、「トヨホマレ」として命名登録された。本品種は、耐冷性が強く安定多収で裂皮粒や開花期の低温による臍周辺着色粒の発生が少ない等外観品質に優れ、さらに耐倒伏性が強く密植による増収効果が大きい白目品種である。適地は網走、十勝(山麓、沿岸)、道央(中央・北部のそれぞれ一部)およびこれに準ずる地帯で、これら地域において「トヨムスメ」、「キタムスメ」及び「北見白」のそれぞれ一部に置き換え普及奨励する。


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