農業研究本部

北海道の農耕地におけるネグサレセンチュウの種類とその分布
第2報 分布並びに各種作物収穫期前後の線虫密度

山田 英一、高倉 重義

北海道立農試集報.69,19-29 (1995)

 北海道の農耕地におけるネグサレセンチュウ類の分布と各種作物の収穫期前後の根圏土壌中の密度を調査した。畑作物、野菜類及び飼料作物圃場における本属の検出率は57%であったが、渡島、桧山での検出率がとくに高かった。種別ては、キタネグサレセンチュウは最も広く分布するが、渡島、桧山、十勝での検出率が特に高かった。次いで分布の広いノコギリネグサレセンチュウは釧路、空知、石狩、胆振に、また、ムギネグサレセンチュウは網走、上川、後志、根室に多く、クルミネグサレセンチュウは一部のイチゴでのみ認められた。リンゴ園ではキタネグサレセンチュウが最も広く分布し、次いでクルミネグサレセンチュウが各地で検出され、チャネグサレセンチュウ及びノコギリネグサレセンチュウも一部の園で検出された。これらのリンゴ根(カイドウ)への寄生は確認されているが、1園のみで検出されたムギネグサレセンチュウは下草のクローバ寄生のものと推察される。ナシ及びモモ園ではキタネグサレセンチュウが広く検出された。プドウ園での発生は局部的であり、また検出数もごく少数であった(種類未同定)。一般圃場における各種作物の収穫期前後の根圏土壌中の密度は、キタネグサレセンチュウではマメ類、トウモロコシ、クローバ、ゴボウ、ニンジン、キャベツ、ジャガイモ、キクなど、ノコギリネグサレセンチュウはゴボウ、ニンジン、チモシー、マメ類など、ムギネグサレセンチュウはマメ類、コムギ、ナタネテンサイなどで高い傾向が認められた。


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