農業研究本部

チモシ-(Phleum pratense L.)とオ-チャ-ドグラス(Dactylis glomerata L.)の遠縁雑種の作出

中住 晴彦、古谷 政道、下小路 英男、藤井 弘毅

北海道立農試集報.72,11-16 (1997)

 チモシーの持つ優れた越冬性とオ-チャ-ドグラスのもつ優れた再生力を組合せ、越冬性と再生力に優れるイネ科牧草を育成する目的で両草種の交雑を行なった。交雑は、チモシーを種子親、オ-チャ-ドグラスを花粉親として行なった。交雑の結果、オ-チャ-ドグラス花粉管の先端がチモシ-の胚珠に到達し、受精していることが確認された。得られた種子は胚乳の発達が極めて悪いため胚を摘出して培養したところ、最終的に4個体の雑種植物が得られた。得られた雑種植物の染色体数は両親の中間の35本で、エステラーゼのザイモグラムから雑種個体には花粉親のオ-チャ-ドグラス由来のバンドが確認された。これらのことから、得られた雑種個体はチモシ-とオ-チャ-ドグラスの雑種であると確認された。チモシーはコヌカグサ族アワガエリ属、オーチャードグラスはウシノケグサ族カモガヤ属に分類され、族を異にする。この遠縁雑種の作出はイネ科牧草の育種に新しい可能性を開くものである。 


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