農業研究本部

日本におけるフェニルアマイド系殺菌剤耐性のジャガイモ疫病菌(Phytophthora infestans)の発生

堀田 治邦、谷井 昭夫

北海道立農試集報.74,19-26 (1998)

 1989年,十勝地方の馬鈴しょ栽培地でフェニルアマイド系薬剤を使用した圃場に疫病が多発し,問題となった。これら圃場の罹病葉から疫病菌を分離し,同系薬剤に対する感受性検定を行った。メタラキシル剤に対してライ麦A寒天培地を用いた検定ではすべての菌株が耐性菌で耐性強度が異なる3群(弱、中および強耐性菌)に分かれた。Tuber diskを用いた検定法でも同様に3群に分かれ,ライ麦A寒天培地での結果と良く対応していたが,そのMICは低かった。すべてのメタラキシル剤耐性菌はオキサジキシル剤に対しても耐性を示した。しかし,メタラキシル剤で見られた3菌群は,オキサジキシルに対し,ライ麦A寒天培地を用いた検定で同一の耐性程度となった。また,Tuber diskを用いた検定では2群の耐性菌群に分かれ,中間耐性を示す菌群はメタラキシル弱耐性菌,強耐性菌はメタラキシル中耐性菌と強耐性菌を合わせたものと一致した。塊茎スライスを用いた検定法では弱耐性菌は検出されず,中耐性菌以上が検出された。


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