農業研究本部

ごぽうの窒素栄養特性と適正施肥量

西田忠志

北海道立農試集報.74,53-61 (1998)

 “晩春まき"におけるごぼうの窒素栄養特性を明らかにし、合理的な窒素施肥について検討した。葉の撃素含有率は、播種後60日頃まで増加した後は、葉が完全に枯死するまで徐々に低下していった。根の窒素含有率は、播種後80日頃までは低下するが、その後は一定の値を維持し、葉の枯凋が始まる播種後120日頃から増加した。葉の窒素吸収量は、播種後115日頃に最大となった後は、葉の老化・枯死にともない低下するのに対し、根の窒素吸収量は、葉が完全に枯死するまでシグモイド曲線を描いて増加した。 総窒素吸収量は播種後125~130日頃に最大となり、その値は約20kg/10aであった。これ以降は、葉の枯凋が進むにつれて吸収量は若干低下し、葉が完全に枯死する頃には17kg/1Oa程度となった。窒素施肥による増収効果が認められるのは、肥沃度の低い十勝農試圃場でも18kg/1Oaまでであり、これ以上施肥量が増えても収量はほとんどかわらなかった。根の乾物率及びイヌリン含量といった内部品質は、施肥量が増えるのにともない低下する傾向があった。十勝農試も含めた5ヶ所の圃場における窒素用量試験の結果、収量・品質・肥料の利用率を考慮した場合の適正な窒素施肥量は18kg/10aであり、沖積土などの天然窒素供給能力の高い圃場では、15kg/10aあるいはそれ以下の減肥も可能と思われた。


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