農業研究本部

露地野菜に対する被覆肥料の肥効特性

奥村 正敏、三木 直倫、長谷川 進、美濃 健一、田中 誠

北海道立農試集報.76,17-26 (1999)

 スイートコーン,ネギ,タマネギ,ニンジン,キャベツを供試し,被覆肥料の施用効果とそれにおよぼす土壌の種類,作型,施肥位置の影響を明らかにした。さらに被覆肥料の環境保全的効果も検討した。被覆肥料の肥効は,全層施用よりも作条施用を行う作物で高かった。すなわちスイートコーンでは40日タイプで,ネギでは70日タイプで増収効果が高いことが認められた。また被覆肥料の肥効は,地温と土壌水分の影響を受け,初夏に比べ夏により速効的であったが,初夏の乾燥年には低下した。とくに保水性の小さい土壌では,晩春播きのキャベツに対する作条施用の場合に窒素不足を招くおそれがあり,不安定であった。被覆肥料の全量基肥施用による肥効発現は,緩やかに溶出する窒素が作土層に高く維持されることによる。被覆肥料を施用した場合の窒素利用率は増収効果が高いときに高まることが多いが,判然としないこともあった。被覆肥料の溶出タイプが作物の窒素吸収パターンにほぼ合致する場合は,土壌中への窒素残存量は少ないが,乾燥あるいは低温年で肥効が遅れる場合には,残存量は増加する可能性がある。


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