農業研究本部

Ⅰ ハスカップ(クロミノウグイスカグラ)

1 特性

 ハスカップの起源は、本道に自生しているクロミノウグイスガグラ(スイカズラ科スイカズラ属)の果実を先住民族が冬期間の保存食として利用していたのが始まりで、現在では本道の特産物として菓子類、ジャムなどに利用され、栽培化が進んでいる。
「ハスカップ」の語源は、アイヌ語の[haska(o)pハシカプ」で、has(枝条)、ka(の上)、o(に沢山なる)、p(もの)という意味であり、この通称名が作物名になった。この他、フレップ、ネズミフレップ、ヨノミ、ユノミなどとも呼ばれている。
ハスカップは、本州中部の高山帯から本道の高山帯及び低地湿原、さらにサハリン、シベリアまで分布する。本道の主な自生地は、勇払原野や別海町周辺が知られている。
性状は、樹高1.5m程度の低灌木で、開花期は5月中旬~6月上旬頃、熟期は6月下旬~7月中旬頃である。
花は淡黄色で、新梢の第1~3節の葉腋に対生に着生し、下節から順に開花する。果実は合一した2子房から成るので、1果に2つの花が付く。
 果実の色は、紫黒色~青黒色であり、1果の大きさは0.3~1.0gで、形は円、長円、卵形、銚子形、円筒形などと変異がある。

2 品種

 現在、ハスカップの品種は、中央農業試験場が選抜育成した「ゆうふつ(HC-1)」だけである。
 特性としては、生育旺盛で新梢の発生が多いことから、収量が普通株の1.5~2倍と多い。平均1果重は1.1gと大きい。また、果汁色素が多く、酸度は少なく、種子の数が少ないなどの加工適性を有している。熟期は7月初旬頃で早生種に入る。

表17 ハスカップ品種「ゆうふつ」の特性 (中央農試1981~1988年の8か年平均)



品種(系統)名

1株収量(g)

1果重(g)

熟期

果形

果皮色

苦味

酸味

ゆうふつ(HC-1)

1710

1.11

7月初

長円~銚子形

在来1号

980

1.06

7月初

銚子形



注:収量は1988年、定植後21年

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