農業研究本部

2 小果樹類の特性と栽培技術

3 整枝せん定

 ハスカップの場合、無せん定で育てると、枝齢が進むと果実が小さくなったり、枝が込み合うなどの弊害が出てくる。
 せん定は、①結実量が最も多い3~5年生の枝を確保すること、②枝の込みすぎを改善すること、とされている。せん定の時期は、発芽前(4月上旬頃)までに終了させる。

(1) 主軸枝更新法(間引きせん定法)

枝齢(枝の年齢)が古くなって、新梢の伸びが短くなり、果実が小さく結実量が低下した枝(主軸枝)を根本から切り取り、新しい枝(主軸枝)に更新していく方法。
 主軸枝を間引くことから「間引きせん定」とも言われる。枝齢3~5年生の主軸枝を1株当たり7~10本残すようにする。また、予備枝として発育枝や吸枝を数本残すようにす る。
   このせん定法では、樹高は1.5m程度、1株当たり収量は1.0kg程度である。

(2) 主軸枝固定法

  主軸枝を1株当たり5~6本に固定し、主軸枝上の結果枝の間引きや切り返しで樹勢を維持する方法。主軸として固定した枝以外は切除する。
このせん定法では、樹高は2~2.5m程度、1株当たり収量は3~4㎏程度である。

4 繁殖・植付け

(1) 繁殖法

  ハスカップの繁殖法としては、挿し木法と実生法があるが、一般的には優良系統の増殖としての「挿し木法」がとられている。
 ア 挿し木法(休眠枝挿し)
  ①時期:秋期ではl0月下旬~l1月、春期は4月中旬~5月上旬頃。
  ②挿し穂::1年枝~旧年枝(一般に、挿し穂は太枝の方が活着は良好)を利用する。
③方法:挿し床にポリマルチを行い、長さ20㎝程度に切除した挿し穂を約3分の2程度土中にさし込む。
④その他:挿し木法による発根率は平均すると70~80%程度。冬期間土壌凍結のある地域では、秋期の挿し木は、土壌凍結により挿し床が持ち上がるので、春に締めつけることが必要。また、発根した苗木は2~3年養成してから定植する。
イ 実生法
成熟した果実をつぶして種子を取り出し、水洗いした後陰干しする。播種時期は陰干し後すぐ播くか又は冷蔵保管して翌春に播く。この方法では定植までに3年程度の  養成が必要となる。
挿し木法に比べ、比較的簡単に大量の苗を得られる利点はあるが、遺伝的安定性に欠けるため、優良系統の増殖には適さない。

(2) 植付け

 ア 時期:植付け時期は、4月下旬~5月上旬頃か秋の落葉後が適期である。冬期間の寒さが厳しい地域では春植えの方が無難である。山採り株や成木の植え替えの場合には、枝を切りつめる。
 イ 栽植本数:現在各地の実態としては200~500本/l0aの範囲であるが、成木時の樹形や作業性在とを考慮すると270~330本/l0a(列間2m~2.5m×株間1.2m~1.5m)  が適当である。

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