3 小果樹類の特性と栽培技術
5 結実確保
ハスカップの自家結実率は低いので、他の品種・系統を混植するとともに、訪花昆虫(ハナアブ、マメコバチ等)の保護利用が結実確保に極めて重要である。特に、ハスカップは開花期が早いため、気温が低く、風が強い場合が多いので、防風林や防風ネットの設置などにより訪花昆虫の活動を促すことも大切である。また、開花直前や開花期間は殺虫剤の使用を避ける。
6 収穫
収穫期は6月下旬~7月中旬で、着色した果実から収穫する。ハスカップの場合は株内でも熟期が2~3週間にわたるため、5日~1週間ごとに数回収穫する必要がある。
定植後の年数別の1株当たり平均収量は表18のとおりであるが、人手による収穫能力は、1時間当たり約1.2~1.5kgで、300kg/10aの収量の場合は、200~250時間の労力を要することになる。
表18 樹齢別の1株当たり平均収量
定植後年数 |
樹高(㎝) |
1株当たり収量(g) |
3~4年 |
50~80 |
100前後 |
5~6年 |
80~120 |
300~500 |
成木 |
120~180 |
800~1000 |
7 土壌管理・施肥
(1) 土壌適応性
土壌適応性は広いが、乾燥しやすい土壌(砂質土)や水はけの不良な土壌は避ける。土壌酸度(pH)は4~7で生育するが、弱酸性~中性付近での生育が良い。
(2) 土壌管理
ハスカップは浅根性であるため、雑草との養水分競合を避けるように株元は清耕法とする。なお、乾燥防止のために敷きワラなどを行うと生育が良好になる。
(3) 施肥
肥料は、融雪直後できるだけ早く施用し、土と混和する。施肥量は表19のとおりであるが、地力や樹勢により適宜加減する。
表19 ハスカップの施肥基準
地帯区分 |
成株(6年以上) |
若株(3~5年) |
幼株(2年以下) |
|||||||
目標収量 |
N |
P2O5 |
K2O |
N |
P2O5 |
K2O |
N |
P2O5 |
K2O |
|
全道一円 |
500 |
8 |
8 |
8 |
6 |
6 |
6 |
3 |
3 |
3 |
留意事項
1 10a当たり300本植えを基準とする。
2 土壌管理は清耕法を基準とする。
3 施肥は融雪直後に行い、土と混和する。
4 なお、粗粒質火山灰土壌では施肥量を30%程度増やす。