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道南農業試験場

平成17年度研究課題一覧

*更新 2005.7.25

今年度新たに取り組む研究課題

  1. 食味ランキング特A米生産のための技術開発と多様な米産地の形成支援 (平成17~20年、作物科)
  2. 窒素栄養診断に基づく高設・夏秋どりいちごの安定生産技術の確立 (平成17~19年、園芸環境科)
  3. 畑作・園芸用特殊肥料「大地の再生」のトマト無化学肥料栽培における利用技術の開発 (平成17~19年、園芸環境科)
  4. ハウス野菜の病害虫に対する生物農薬の適用性検定 (平成17年、病虫科、花野菜セ・病虫科)

実施課題一覧

作物科

  1. 高品位米品種の開発促進 (平13~19年)
  2. 水稲直播用高品質良食味系統の選抜強化 (平16~20年)
  3. 世代促進温室による水稲優良品種の早期開発  (平13~19年)
  4. 食味ランキング特A米生産のための技術開発と多様な米産地の形成支援(平成17~20年)
    • 3)道南向け業務用良食味米品種の現地選抜
    • 4)世代促進による品種開発の支援
  5. 水稲系統適応性検定試験 (平7年~ )
  6. 水稲奨励品種決定基本調査 (昭29年~ )
  7. 水稲奨励品種決定現地調査 (昭29年~ )
  8. 新優良品種普及促進事業(水稲予備増殖) (昭42年~ )
  9. 新農業資材の実用化試験(水田除草剤) (昭34年~ )
  10. 外観品質の高い煮豆用極大粒大豆品種・系統の育成および高品位収穫技術の確立 (平15~17)
  11. 大豆奨励品種決定基本調査 (平13年~ )
  12. 大豆奨励品種決定現地調査 (昭29年~ )
  13. 大豆系統適応性検定試験  (昭32年~ )
  14. 小豆地域適応性検定試験 (平13年~ )
  15. 小豆奨励品種決定調査 (昭46年~ )
  16. ばれいしょ奨励品種決定調査  (昭50年~ )
  17. ばれいしょ輸入品種等選定試験 (平2年~ )
  18. とうもろこし奨励品種決定現地調査 (昭53年~ )
  19. 飼料作物品種比較試験(現地調査) (昭55年~ )

園芸環境科

  1. イチゴ新品種育成試験(作期拡大に対応した新品種の開発) (平10~19年)
  2. イチゴ地域適応性検定試験 (平14~19年)
  3. いちごの疫病の総合防除対策 (平15~17年)
  4. いちごメリクロン苗を用いた種苗生産 (平16~17年)
  5. 窒素栄養診断に基づく高設・夏秋どりいちごの安定生産技術の確立(平成17~19年)
  6. 地域特産野菜のクリーン農業技術開発 ③かぶ (平16~17年)
  7. 施設野菜の有機栽培における有機物施肥技術の開発 (平16~18年)
  8. カキ殻粉砕物の野菜畑に対する施用効果 (平16~17年)
  9. 施設栽培における漁業系有機性資源の有効利用と施用基準設定 (平15~19年)
  10. 水産系廃棄物のリスク評価とリスク軽減策の開発 (平15~19年)
  11. 畑作・園芸用特殊肥料「大地の再生」のトマト無化学肥料栽培における利用技術の開発(平成17~19年)
  12. 突発病害虫及び生理障害診断 (昭50年~ )
  13. 土壌機能実態モニタリング調査 (平11年~ )
  14. 土地改良計画地区土壌調査 (昭40年~ )
  15. 地力増進地域に対する対策調査 (昭60年~ )
  16. 新農業資材の実用化試験(肥料及び土壌改良材)

病虫科

  1. いちごの疫病の総合防除対策 (平15~17年)
  2. アカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモントラップの実用化 (平15~17年)
  3. カボチャ疫病の緊急防除対策 (平16~17年)
  4. ハウス野菜の病害虫に対する生物農薬の適用性検定(平成17年)
  5. 地域特産野菜のクリーン農業技術開発 ③かぶ (平16~17年)
  6. 新農業資材の実用化試験(殺虫・殺菌剤) (昭45年~ )
  7. 病害虫発生予察調査 (昭19年~ )
  8. 突発病害虫及び生理障害診断 (昭50年~ )

技術体系化チーム

  1. 経営革新技術等移転促進事業
    1. 養液土耕法によるカーネーション栽培技術導入に関する産地支援 (平15~17年)
    2. 温暖な気候を活かした水稲直播栽培の安定化と普及 (平16~18年)
  2. 地域水田農業改革実践支援事業
    1. 施設園芸野菜に対応した暗渠排水効果検証調査 (平16~17年)

主な研究課題の概要

作物科

1 高品位米品種の開発促進 (平13~19年)
 「コシヒカリ」をはじめとする、極良食味の高品位米に対する消費者の人気は、相変わらず高く、北海道米もより一層の食味向上が求められている。これに対して、府県産の高品位米に匹敵する品種を早期に開発することが必要である。この課題は、中央農試及び上川農試と共同で取組む。道南農試は、大型世促温室を利用して、品種開発の年数を短縮するとともに、道南地域向けの極良食味の中晩生種の系統選抜を実施している。
2 水稲直播用高品質良食味系統の選抜強化
(2)育成系統の直播栽培による地域適応性検定試験(平16~20年)
 上川農試、中央農試と共同で実施する。北海道に適した直播用高品質良食味系統の育成を目的とする。具体的な形質として高度低温出芽性と苗立性、初期低温伸長性、さらに、登熟性や耐倒伏性および収量性の向上を図る。当面の育種目標は、食味レベルは「ほしのゆめ」と同等、収量レベルは、移植栽培の95%以上、さらに、苗立ち性は「ゆきまる」の10%向上をめざす。
 道南農試では、上川農試で育成途中の系統について系統適応性検定試験を行い、道南地域に適した有望系統を選抜し、品種の早期育成を図る。
3 世代促進温室による水稲優良品種の早期開発 (平13~19年)
 作物の品種開発の期間を短縮するために1年に2~3回作付けし世代を進めることを、世代促進という。これまでの水稲の世代促進は、西南暖地(鹿児島県・沖縄県)を利用していたが、道南農試に新設された大型世代促進温室で開始した。上川農試及び中央農試から送られてきた集団を供試している。今後は西南暖地ではなかなか効果が上がらなかった熟期選抜を実施することで、品種開発の効果を更に上げていく。
4 食味ランキング特A米生産のための技術開発と多様な米産地の形成支援 (平17~20年)
 上川農試、中央農試と共同で実施する。特A米産地形成のできる府県の「コシヒカリ」並みの良質極良食味品種を早期に開発することを目的とする。特にアミロース(2%減)およびタンパク質含有率(1%減)を従来品種より低下させた系統を作出する。耐病性、耐冷性選抜にDNAマーカーを活用し、さらに、上記の食味関連形質における有用素材の作出と探索を行う。
 道南農試では、世代促進の供試材料を用いて初期~中期世代まで道南に適した系統を選抜し、温暖な気候を活かした大型温室を利用した世代促進による育種年限の短縮を図る。
10 外観品質の高い煮豆用極大粒大豆品種・系統の育成及び高品位収穫技術の確立 (平15~17年)
 道南地域は「鶴の子」「光黒」銘柄大豆の、国内でも指折りの産地である。しかし、ダイズシストセンチュウの加害や種皮が裂ける障害を受けやすく、現在の主力品種ではその被害から逃れることが出来ない。そのために、品種改良による解決が熱望されている。この品種改良は中央農試が担当してきたが、道南地域の環境に適した品種の開発は困難であった。道南地域7こ適した品種を開発するには、道南地域で選抜を図るのが最良である。平成14年から、道南農試がその部分を分担している。

園芸環境科

1 イチゴ新品種育成試験(作期拡大に対応した新品種の開発) (平10~19年)
 これまで道南農試では、無加温半促成栽培用のイチゴ品種「きたえくぼ」と「けんたろう」を育成してきました。現在は夏秋どり栽培向けの高品質四季成り性品種の育成を進めており、果実硬度が高く日持ち性が優れる3系統について現地試験を実施し、これらの中から特に評価の高い系統の品種化をめざして検討しています。また、疫病などの各種土壌病害に抵抗性を持つ品種の育成も進めております。
4 いちごメリクロン苗を用いた種苗生産 (平16~17年)
 近年、道内ではいちごの土壌病害(疫病、萎凋病、萎黄病)が多発し、安定した種苗供給が困難となっており、道央では水田転換畑における無病苗の採苗も行われているが、土壌病害に汚染された道内の主要産地においては、産地内に安全な水田転換畑を確保することすら困難となっている。
 そこで、各産地における種苗の安定生産を目的として、通常の親苗(セカンド苗)ではなく、メリクロン苗(ファースト苗)を利用した「もみがら採苗法」を定着させるため、メリクロン苗の「もみがら採苗法」における種苗生産能力を把握し、健全な種苗の安定供給を図る。
5 窒素栄養診断に基づく高設・夏秋どりいちごの安定生産技術の確立(平成17~19年)
 いちごの高設栽培は作業が楽であり、夏秋期のいちごは市場のニーズも非常に高く、高収益が見込まれています。しかしこの作型は生産者間で収量の格差が大きく、収量の月別変動が大きいことから、生産の平準化が求められています。このためには高設・夏秋どりの生育特性の解明と、生育期間中にいちごの体内養分の測定を行い、追肥の量を決定する栄養診断技術の活用が有効と考えられます。栄養診断に基づく施肥量調節に加え、果房摘除などの管理法を確立し、夏秋どりいちごの収量平準化を図る栄養診断マニュアルの設定を目指します
6 地域特産野菜のクリーン農業技術開発 ③かぶ (平16~17年)
 クリーン農業は北海道の農業基幹技術として展開中であり、YES!clean認証制度が発足し、施肥や農薬の数値基準が示されたが、地域特産作物については適切な施肥管理や防除法が不明な場合が多く、YES!clean基準値の適用については十分なものとなっていない。このため、全道の各地域特産物について適正な施肥・防除法を明らかにする。道南農試では「かぶ」について養分吸収特性と土壌診断に基づく減化学肥料技術及び防虫ネットやマルチ資材を用いた減化学農薬栽培技術を検討し、「かぶ」のクリーン農業生産技術を開発する。
7 施設野菜の有機栽培における有機物施肥技術の開発 (平16~18年)
 「有機栽培」は、食への安全・安心を指向する消費者から常に高い関心が寄せられており、トマト等施設野菜の有機栽培技術を開発する。
 トマト等は、全量を基肥で有機物施用すると気象条件が予測できないため肥効が不安定になるので、有機栽培を行うためには追肥が必要である。また、全量有機物の過剰投入を抑制し環境への負荷を増大させない施肥技術の開発が不可欠である。そこで、有機物による追肥技術を開発することによって果菜類に対する有機施肥を実用化し、環境負荷を増大させず、かつ、ハウス土壌での持続生産が可能な全量有機物による果菜類の施肥基準を設定する。
8 カキ殻粉砕物の野菜畑に対する施用効果 (平16~17年)
 北海道におけるカキの産地は網走、釧路、渡島管内で、カキ殻の発生量は道内で年問約2,300tであるが、ほとんど未利用のままで、野積みされている。産地が狭い地域に限定され偏在し、カキの産地を抱える自治体、漁業者は地域内での処理、あるいは有効活用を模索している。
 そこで、カキ殻を土壌pHの矯正剤として活用することをねらいとして、その効果的な利用のため、(1)粉砕カキ殻の粒径の違いによるpH上昇の効果、(2)粉砕カキ殻施用の効果を現地で実証し、地域内資源の有効活用と漁業関係者の廃棄物処理費用の負担軽減を図る。
9 施設栽培における漁業系有機性資源の有効活用と施用基準設定 (平15~19年)
 施設栽培において魚類に由来する有機性資源を用いた肥料およびたい肥の養分特性を活かした施用方法を策定し,土壌養分バランスを良好に保ち、将来に亘って健全な土壌で栽培を継続するための適正な有機物施用基準を設定する。
10 水産系廃棄物のリスク評価とリスク軽減策の開発 (平15~19年)
 野菜作における水産系廃棄物資材の利用に伴うカドミニウム負荷リスクを評価し、その軽減策を明らかにする。具体的には道南地域の水産系廃棄物の処理及び利用実態の調査及び各種水産系廃棄物のカドミニウム濃度を分析する。また、ポット、枠を用いた各種野菜のカドミニウム吸収特性の確認並びにクリニーングクロップの検索を行うとともに、水産系廃棄物の連用試験を行う。

病虫科

1 いちごの疫病の総合防除対策 (平成15~17年)
 いちごの疫病に対する化学的・耕種的防除法を組み合わせた総合防除対策を確立し、北海道育成品種の安定生産に寄与する。試験の主な柱は(1)いちご産地における疫病の発生実態調査 (2)「もみがらを用いたいちご無病・良質苗の簡易増殖法」を用いた場合の疫病に対する実用性の検討 (3)化学的、耕種的防除法および効果的な土壌消毒法の開発:効果的薬剤の探索および薬剤によらない土壌消毒法、天地返し等の処理による発病抑制効果の検討 (4)品種ごとの葉、根などの植物の一部を用いた抵抗性検定法、あるいはポットレベルでの検定法の確立である。
2 アカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモントラップの実用化 (平15~17年)
 米も品質低下をもたらすアカヒゲホソミドリカスミカメによる被害軽減を図るため、実用的な性フェロモントラップを開発する。具体的な検討項目は、(1)近距離誘引物質 (2)トラップ形状 (3)製剤素材の探索である。
3 カボチャ疫病の緊急防除対策 (平16~17年)
 森町のかぼちゃ生産量は全道2位(5,440t)で、重要な移出農産物である。しかし、平成8年頃から疫病が発生し、平成14年には8月の発病株率が100%に達するとともに、輸送中の発病も多く、クレーム問題も生じており、早急に対策が必要となっている。
 多発した年に罹病株を鋤込みして以来、常発していることから、土壌中の病原菌密度が高く、雨などによる跳ね上がりで感染するものと考えられる。このため、薬剤付着率を高める散布法の改善、雨水の跳ね上がり防止方法など組み合わせた対策の効果を検討し、疫病発生軽減法を明らかにする。
4 ハウス野菜の病害虫に対する生物農薬の適用性検定 (平成17年)
トマトには、アザミウマ、オンシツコナジラミ、灰色かび病、葉かび病など多くの病害虫が発生し、化学農薬による防除が行われています。このような中で、クリーン農産物を生産するためには減農薬を実施することが必要ですが、必ずしもすべての産地で可能な訳ではありません。近年、各種の生物農薬が実用化されていますが、北海道の気象条件やトマトの病害虫への適用性が明らかになっておりません。このためトマトでの適用性について検討し、生物農薬の有効な使用法について試験を行います。

技術体系化チーム

1(1) 養液土耕法によるカーネーション栽培技術導入に関する産地支援 (平15~17年)
 カーネーションの養液土耕栽培について、北海道の作型に対する適合性を検討するとともに、施肥やかん水作業の合理化、省力化にっいて検証すること及び装置導入に伴う経済性及び環境負荷の軽減について評価することを目的として、渡島中部地区農業改良普及センター、JA新はこだて七飯支店・大野支店の協力を得て実施中である。
1(2) 温暖な気候を活かした水稲直播栽培の安定化と普及 (平16~18年)
 道南地域の複合経営稲作農家において、稲作の省力化による園芸作の充実強化を目的に、緩効性肥料を利用した施肥法改善により、直播栽培水稲の生育相の改善効果および収量・品質の高位安定化を実証するとともに、直播栽培導入による省力化の経営的評価を明らかにし、体系化された直播栽培マニュアルを作成する。
2(1) 施設園芸野菜に対応した暗渠排水効果検証調査 (平16~17年)
 木古内町のトマト栽培ハウスにおいて、暗渠施工による土壌環境の変化と施設栽培トマトの生産性について調査するとともに改善対策の効果と経済性を明らかにする。調査場所は木古内町の転換畑トマト栽培ハウス2ヵ所で、ハウス内の土壌調査、排水調査、トマト生育調査を行う。

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