冬野菜マニュアルHTML版
葉根菜類冬どり栽培マニュアル(2025年改訂版) ※PDF版はこちら
北海道立総合研究機構 道南農業試験場
上川農業試験場
〇真冬の北海道でも野菜生産を!!
北海道は全国有数の野菜産地。しかし出荷のほとんどは夏に集中しています。このため冬は道外産野菜が高値段で売られています。冬でも野菜を安く安定して供給するために、北海道でも厳寒期の野菜生産が求められています。
〇暖房無しでも葉物の野菜は枯れない!?
12月には雪に覆われる北海道。そんな寒い条件で野菜は作れるのでしょうか?
ハウス内で暖房を使えばもちろん枯れることはありませんが、「ちぢみほうれんそう」など、氷点下でも枯れない野菜はたくさんあります。本マニュアルでは、比較的寒さに強い葉菜類の栽培方法をご紹介します。

〇保温処理を上手く利用しよう!
「暖房を使わずに栽培できる」と言っても、最低気温は少しでも高い方が栽培は安定します。本マニュアルでは品目によって以下の保温処理を利用します。これらの保温処理によってハウス内の最低温度を外気温より9~23℃高く維持することができます。


〇冬野菜を無加温栽培する際の注意点 ※PDF版マニュアルはこちら
1.パイプハウスの装備
・各地域によってパイプハウスに必要な保温装備と耐雪強度が異なるため、栽培開始前に必ず「保温装備マップ」と「耐雪強度マップ」で確認してください。
・ハウスの保温性(気密性)と耐雪強度を維持するために、栽培開始前には必ず使用予定のハウスを点検し、フィルムの修繕や劣化した部品の交換を行います。隙間風が入ると保温性が低下するため、できるだけ隙間をなくし、気密性を保ちます。また、雪が多い地域では必要に応じてハウスの補強を行います。
2.施肥設計
・各品目の施肥量については「北海道施肥ガイド2020」(北海道農政部)を参考にしています。作付け前に土壌診断を行い、診断結果をもとに施肥ガイドに準じて施肥量を調節してください。
3.灌水管理
・播種後、もしくは定植後から土壌条件を確認しながら適宜行いますが、11月以降はハウスを閉め切る管理が多くなるため、土壌が乾燥しにくい条件になります。凍結による灌水装置の破損を避けるためにも11月上~中旬を目途に終了します。
4.保温管理
・ハウス内の最低気温が氷点下に下がり始めたら、内張、トンネル、べたがけなどの保温を開始します。また、時期別の目標サイズに到達していない場合も適宜保温します。
5.日中の温度管理
・1月以降はハウスを閉めきると日中の気温が高くなりすぎることがあるので適宜換気を行います。
6.害虫の防除
・ナメクジ・・・寒くなるとハウス内に侵入し、厳冬期であっても葉を食害します。ナメクジ用の殺虫剤での防除を基本としますが、侵入をゆるした場合は暖かい日に葉の上で活動しているのでこまめに観察し、捕殺します。
・アブラムシ・・・晩秋にハウス内に侵入し、作物の葉裏や基部で越冬します。発見した場合は速やかに殺虫剤を散布します。
・ネキリムシ・・・秋にハウス内に侵入し、定植した苗の地際を食害します。ネキリムシ用の殺虫剤での防除が基本ですが、侵入をゆるした場合は欠株となった場所の近くの土中にいることが多いので見つけ出して捕殺します。
〇栽培可能な品目(【カッコ】内は栽培実証を行った地域) ※PDF版マニュアルはこちら
・リーフレタス(グリーンリーフ・サニーレタス)
サラダ野菜の王道、オードブルの名脇役
サラダ野菜と言えばレタス。なかでもリーフレタスはクリスマスやお正月のオードブルに欠かせない食材です。このため年末に安定出荷が求められています。


・結球レタス【道南】
寒さに弱いため充分な保温装備が必要
サラダ野菜の王道、周年供給が求められる食材です。寒さに弱いため栽培は暖かい地域に限定されます。


・こまつな
寒さに強く管理も楽チン
冬の野菜として定着した「ちぢみほうれんそう」と同様に葉物野菜として利用されています。寒さに強く、軽い保温装備でも栽培できます。



・チンゲンサイ
寒さに比較的強い中国野菜
中華料理に欠かせない食材です。炒め物、煮物、スープに利用できます。


・紫からしな
寒さに強く、サラダとして利用可能
サラダの彩りとして紫色の葉を利用でます。寒さに強く、こまつな同様に栽培できます。


・みずな・紫みずな
寒さに比較的強い京都の伝統野菜
鍋、漬物、炒め物、サラダなどいろいろな食べ方ができる食材です。年間を通した安定供給が求められています。


・からしな
冬でも摘み取り収穫可能
辛味のある野菜で、サラダに利用されます。寒い時期でも葉 が伸長し、摘み取り収穫が可能です。


・小かぶ
寒さに比較的強い根菜
根だけでなく、葉も煮物や漬物に利用できます。


・ベビーリーフ ※参考:ベビーリーフ栽培マニュアル(道南農試)
若葉をミックスしたサラダ野菜
他の葉菜類より栽培期間も短い上、特に保温装備も不要で、夏と同じ管理で栽培できます。



・ケール(ボーレコール)
生でも加熱調理にも向くケール
「おいしくない」イメージの強いケールですが、寒さにあたると甘味が増し、クセがなくなります。糖度は寒締めほうれんそうを上回ります。


※参考:R7指導参考「葉菜類ボーレコールの冬季無加温栽培法と加工・貯蔵特性」(成績概要書、パンフ「ゆきあまケール」)
