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上川農業試験場

研究部の業務概要


水稲品種開発

米の新品種を作るには毎年60種類もの交配と数十万個体の栽培、そして収量、耐冷性、耐病性、食味などさまざまなテストと、8〜10年もの年月がかかります。たくさん穫れて、寒さに強く、栽培しやすく、もちろんおいしい、そんな品種を一日でも早く生産者や消費者にお届けするため、さまざまな工夫をしています。冷水田で寒さに強い稲や、低温でも苗立ち性の良い直播向きの稲を選抜します。また、冬期温室,道南農試大型温室(夏期)を利用して,年に2回稲を栽培して世代を進める「世代促進法」を行っています。さらに収穫後は、各種の食味分析装置を使い食味の良い米を選抜。目標は北海道ブランドの確立です。また府県産に負けない良質のもち品種の開発も進めています。
道総研における水稲の品種開発は、上川農業試験場と中央農業試験場が分担して行っています。上川では一般食用の極良食味米ともち米を、中央では業務用多収米と酒米を、それぞれ担当しています。
現在の育種目標として、以下を狙った開発を進めています。

A.極良食味米
(1)「ななつぼし」より多収で農業特性の優れる品種
(2)「ふっくりんこ」より多収で、いもち病に強く、食味と品質が優れる品種
(3)「ゆめぴりか」より農業特性に優れ、最上級の食味・品質をもつ品種

B.もち米
(1)主におこわや餅菓子に向く、柔らかさが持続するもので、「風の子もち」、「はくちょうもち」または「きたゆきもち」に優る農業特性を持つ品種
(2)切り餅等に向くもちが硬くなりやすいもので、「きたふくもち」に優る収量性、農業特性を持つ品種

研究開発のページ(水稲品種情報とQ&A)


作物の品種選定と特性検定

畑作物および園芸作物の品種開発の一環として、他の試験場で育成した新品種候補(系統)が道北地域の気候に適合しているかどうかの評価選定を行い、地域により適合した品種の開発普及に寄与しています。
現在の供試作物は、秋まき小麦、春まき小麦、二条大麦、大豆、小豆、菜豆、ばれいしょ、てんさい、いちごです。
また、新品種候補(系統)が病害にどの程度抵抗性を持っているのかを、発病しやすい条件をつくって検定しています。
現在は、水稲(いもち病)、小豆(茎疫病)、秋まき小麦(雪腐病)で取り組んでいます。

研究開発のページ(北海道優良品種)


作物栽培技術の確立

食味の良い米を作るための土壌条件を解明し、適切な施肥管理を行う方法の開発をめざしています。また、省力的でより低コストな栽培技術を追い求めます。そのために、衛星やドローンによるリモートセンシングデータ等、ICTの活用により、作物生育調査や生産管理に応用する手法を検討します。
一方、水稲生産の経済的優位性は低下する方向にあり、上川地域でも野菜生産額が上昇を続けています。昼夜の温度差や冬の雪や寒さの利用、夏の暑さの克服など、道北地域の気候を活かした周年利用ハウスでの野菜の栽培体系を開発してきました。今後のゼロカーボン社会の実現に向けてその技術を深め、環境制御ハウスでの次世代型栽培技術開発をめざします。
民間で開発された各種の資材(除草剤、殺菌剤、殺虫剤、生育調節剤、肥料、土壌改良材、育苗培土、機械等)を実際の栽培条件でその効果を確認し、農業生産に資すると判断されたものはその成果を公表します。


病害虫の制御技術開発

病原菌や害虫の発生生態に応じた的確な防除手法開発、天敵や生物農薬を利用する減農薬栽培技術の開発、そして生産者が行える病害虫の簡易診断法の開発により、安全・安心なクリーン農業の発展に寄与します。
毎年発生する作物の病気や害虫の発生時期・発生量をフェロモントラップや黄色水盤でモニタリングして予測し、効果的な防除に役立ててもらいます。
また、各地で発生した病気や害虫の診断を行い、対処方法(防除法)をアドバイスします。

発生予察情報(外部リンク)
技術支援のページ(診断の依頼)


生産基盤と環境の保全

食作物生産の土台となる土壌が中長期的にどのように変化しているかを、現地で定期的にモニタリングしています。
また、生産力を高めるための土壌管理方法の開発や、土木的対策を処方するための土壌調査を行います。
地球温暖化や気象災害を軽減するため、農業が寄与できること(炭素の土壌貯留、温暖化ガスの発生量とその抑制)について評価を行っています。

オンラインで見られる土壌図(外部リンク)


地域農業の振興

技術普及室と連携し、新技術や品種について、生産現場へ素早く伝え定着させるよう取り組んでいます。
また、地域で懸案となっている技術的な課題を掘り起こし、早期解決の道筋をつけて農業経営等の総合的な改善を図り、地域の振興を支援します。

地域農業技術支援会議のページ


ほ場管理による研究支援

①ほ場の管理|ほ場を均一にして試験精度を上げます。 心土破砕、耕起、除草、石礫除去などを行い、ほ場を守り、育てています。
②適期作業のために作業計画|試験研究が円滑に実施できる様、作業計画を立て、天候に応じて作業調整を行います。
③車両の管理と作業機械の改良|多数の作業機や車両を点検し、整備に努めています。また、市販機では対応できない作業のために、機械を改良し、作業効率を高めています。



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