根釧農試研究通信第2号:品種2
根釧農試 研究通信 第2号
(1993年3月発行)**新牧草・飼料作物優良品種および馬鈴しょ新品種の紹介**
2 新牧草・飼料作物優良品種の紹介
現在、牧草では13草種62品種、サイレージ用とうもろこしは33品種の優良品種が認定されていますが、今回新たにオーチャードグラス1品種、アカクローバ2品種、とうもろこしl品種が優良品種として認められました。 以下に、今回認定された新優良品種を紹介します。
1.オ一チャードグラス「WWH-94」
特性の概要(表l)
①早晩性:「WWH-94」は晩生品種に属し、根釧農試では出穂始が6月4日と「オカミドリ」および「ケイ」より4~5日遅くなっています。②越冬性:現在流通品種のなかで最も強いとされる「ケイ」よりも優れています。③病害低抗性:すじ葉枯病には「オカミドリ」および「ケイ」より優れています。雲型病には「オカミドリ」並です。④秋季休眠性:秋の生育は「オカミドリ」および「ケイ」より劣り、早くから越冬体勢に入ります。⑤収量性:冬枯れの発生が大きいときには、「オカミドリ」よりも優れ、「ケイ」並の収量となりますが、冬枯れの発生が軽微な時には秋の収量が少ないため、「オカミドリ」より劣ります。⑥普及対象地域:北海道全域ですが、特に道東の土壌凍結地帯での栽培が期待されます。⑦種子の供給が可能となる時期:平成7年。
表1 オ一チャードグラス「WWH-94」の主要特性
注1)冬枯れ発生年のデータ、1-9極強、2)1-9甚、3)1-9極良、4)オカミドリを100とした指数、()内は実数(kg/a)
2.アカクローバ「SB-R-8603」
特性の概要(表2)
①倍数性:「SB-R-8603」は2倍体品種です。②早晩性:開花期は「サッポロ」より0~2日遅い早生に属します。③病害低抗性:うどんこ病には「サッポロ」より優れます。④収量性:根釧農試では乾物収量は「サッポロ」並です。⑤永続性:「サッポロ」並です。⑥混播適性:チモシー「ノサップ」との混播において、競合力が「サッポロ」並かやや強い品種です。⑦普及対象地域:北海道全域。⑧種子の供給が可能となる時期:平成8年
表2 ア力クローバ「SB-R-8603」の主要特性
注1)「サッポロ」を100とした指数、()内は実数
3.アカクローバ「TETRl(テトリ)」
特性の概要(表3)
①倍数性:「TETRI」は4倍体品種です。②早晩性:開花期は「サッポロ」より0~2日遅く、「タイセツ」並の早生に属します。③病害抵抗性:茎割病には「タイセツ」並で強いですが、菌核病には「タイセツ」よりやや劣ります。④収量性:根釧農試では乾物収量が「タイセツ」より多収です。⑤永続性:「タイセツ」並です。⑥混播適性:チモシー「クンプウ」との混播において、競合力が「タイセツ」より強い品種です。⑦普及対象地域:道東地域。⑧栽培利用上の留意点:採草利用とし、2番草の生育が旺盛なのでチモシーとの混播には注意を要します。種子の供給が可能となる時期:平成5年。
表3 アカクローバ「TETRl(テトリ)」の主要特性</P>
注1)「タイセツ」を100とした指数、()内は実数
4.サイレージ用とうもろこし「コラリス」
特性の概要(表4)
①早晩性:早生の中で、絹糸抽出期は「ダイヘイゲン」並です。収穫時熟度は「ダイヘイゲン」よりやや進みます。②発芽および初期生育:「ダイヘイゲン」に比べて、発芽はやや遅く、初期生育は劣ります。③耐倒伏性および耐病性:耐倒伏性は「ダイヘイゲン」並で、「ダイヘイゲン」よりすす紋病にはやや強く、ごま葉枯病には強い品種です。④収量性:「ダイヘイゲン」より乾物収量は多くなりますが、乾雌穂重割合が低いので乾物中TDN率は低くなります。⑤普及対象地域:十勝内陸、網走内陸および根釧の気象条件の良好な地域。⑥種子の供給が可能となる時期:平成5年。
表4 とうもろこし「コリラス」の主要特性
農試は平成2~4年、別海町(上春別)は平成3~4年の平均値。
注l)1-5不良 2)北農試のデータ 3)「ダイヘイゲン」を100とした指数、()内は実数、
4)生総は、生草総重量。乾穂は、乾雌穂重量。乾総は、乾物総重量