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酪農試験場

研究成果:8号の3

根釧農試 研究通信  第8号

1998年3月発行)

研究成果

3.根釧地域のアルファルファ・チモシー混播草地の初期管理技術

作物科

1 試験のねらい

根釧地域におけるアルファルファ栽培では、土壌凍結による断根や凍上による被害を軽減するため、イネ科牧草との混播栽培が推奨されています。しかし、造成時におけるアルファルファのスタンド確保や永続性を高める栽培法については未検討です。

そこで本試験では、現在流通している品種の中から根釧地域に最も適応性が高い「ヒサワカバ」のスタンドをチモシーとの混播条件下で確保するため、播種時期、播種当年の刈り取り時期、播種量および2年目草地における適切な刈り取り時期を検討しました。

2 試験の方法

1)播種時期試験

平成7、8年の2カ年にわたり、播種時期に1、2番草の刈り取り時期を組み合わせた処理を行い、草種構成、アルファルファの根重および翌年の収量などから、適切な播種時期と播種当年の刈り取り時期を検討しました。

2)播種量試験

アルファルファ・チモシー草地の適切な播種量を知るため、平成7年は、アルファルファ0.5~3.0kg/10aまで0.5kg毎の6水準と、チモシー0、1.2、1.8kg/10aの3水準を、また、平成8年は、アルファルファ1.5、2.3、3.0kg/10aの3水準にチモシー0~2.0kg/10aまで0.25kg毎の8水準を組み合わせて検討しました。

3)2年目装置の刈り取り時期試験

2年目のアルファルファ・チモシー混播草地に対して、1番草はチモシーの穂孕期~出穂期までの刈り取り処理に2、3番草の生育期間を組み合わせた合計18処理を行い、その効果を処理年晩秋のアルファルファ根中糖分(TNC)、処理翌年の草種構成及び収量で評価しました。

3 試験の結果

1)播種時期試験

表1に播種時期試験の調査結果を示しました。それによると、播種年晩秋におけるアルファルファの根重は播種時期が遅いほど少なくなる傾向が認められました。また、処理翌年の乾物収量を見ますと8月上、中旬とも7月までの播種区よりもすくないことから、播種は7月までに終えてください。

2)播種当年の刈り取り時期

表1の播種当年晩秋の根重を見ますと、2番草無刈り取り区内では1番草の刈り取り時期が早いほど少なく、また、2番草刈り取り区のそれは2番草無刈り取り区より多く、刈り取り(掃除刈り)の効果が認められました。その時期は雑草の発生状況を観察しながら播種後60日以降に行うと良いでしょう。

3)播種量

表2に播種量試験の結果(平成7年試験)を示しましたが、処理翌年におけるアルファルファ率及び乾物収量はアルファルファの播種量の増加に伴いおおむね増加しました。しかし、アルファルファを1.5kg/10a異常にするとチモシー収量が減少する傾向が認められました。一方、チモシーの播種量を1.8kg/10aにするとアルファルファ率は低下しました。

以上の結果からアルファルファ、チモシーの播種量はそれぞれ1.5kg、1.2kg/10a程度が良いでしょう。

4)2年目装置の刈り取り時期試験

表3に処理翌年のアルファルファ率及び乾物収量を示しました。1番草は収穫草の栄養価などからチモシーの出穂期に刈り取るのがよいでしょう。2番草はその生育期間が長い方が安全です。3番草の刈り取りについては3番草自体の収量が少ない上に翌年の収穫等に悪影響があるための行うべきではありません。