研究成果:9号の15
根釧農試 研究通信 第9号
(1999年3月発行)研究成果
15.スラリー処理におけるスカム発生防止
酪農施設科
1.試験のねらい
根釧管内のフリーストール牛舎の糞尿はスラリーとして処理されることが多くみられます。その際、スラリー粘度の低下やスカム発生の防止などにより、スラリー取り扱い性を向上させる必要があります。そこで、スラリー貯留槽の構造・配置および糞尿性状等の実態を明らかにするとともに、スカム発生メカニズムの解明し、その防止策を提示しました。
2.試験の方法
現地実態調査として、貯留槽の構造、スカム発生状況等について、農家6戸について現地調査をしました。また、スカム発生メカニズムの解明として、根釧農試フリーストール牛舎の通路から採取した乳牛糞尿を水分調節して約100kgを投入し、十分撹拌した後静置し、糞尿の分離状況を観察しました。
3.試験の結果
1)現地実態調査結果(表1:省略) 地下ピットまたはバッグ貯留のように、雨水の混入しない貯留方式では、スカムの発生はみられませんでした。しかし、雨水の混入するラグーン貯留や、地下貯留でもスラット床で、地下ピットのスラリー搬出口が開いていた農家では、スカムが発生していました。
2)スカム発生メカニズム スラリーに対し10%加水撹拌区では分離の発生はみられません。16%の加水撹拌区では2ヶ月程度で液層の発生がみられるが、その量はきわめて少ないものでした。30%の加水撹拌区では、静置後2ヶ月で液分と固形分(沈殿と液上部の固形分)の3層に分離しました。39%の加水撹拌区では静置後2週間程度で分離が開始し、2ヶ月後には4層に分離しました。また、60%の加水撹拌区では、静置後数日から2週間で分離が始まり、2.5ヶ月で4~5層に分離しました(表2、3:省略)。
スラリーに対し30%以上の雨水等が混入する場合には、2週間に一度、十分に撹拌することでスカムの発生が防止できることが確認されました。