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酪農試験場

根釧農試研究通信:9号の19

根釧農試 研究通信  第9号(1999年3月発行)

研究成果

19.カゼイン遺伝子型解析による乳牛選抜法

酪農第一科

1.試験のねらい

牛乳中のタンパク質における遺伝子型は、品種および乳牛集団によって遺伝子頻度が異なる。そこで、北海道乳牛群の乳蛋白遺伝子型を検索し、生産性に関する遺伝子能力との関連性を解明する。

2.試験の方法

乳蛋白遺伝子多型検索のため、北海道東部3町3,395頭の遺伝的変位をポリアクリルアミド電気永動法を用い検索した。

乳蛋白遺伝子型構成と他の形質との遺伝的関連性の解明を行うため、最小二乗法による要因解析および血統情報を組み込んだ多形質REML法を用いた個体モデルBLUP法により遺伝パラメータおよび育種価の推定を行った。

3.試験の結果

カゼイン遺伝子型の生産形質への効果は、κカゼインで乳量、乳タンパク質量および乳脂肪量でBB型が有意に多かった。産乳形質における推定育種価(BV)の集団平均の誕生年による年次変化は、乳量、乳タンパク質量、乳脂肪量で、年当たり改良量は各々8.86kg、1.25kg、0.61kgであった。雌牛集団を乳蛋白質遺伝子型別に年当たり遺伝的改良量を算出すると、乳量でκCN-BB型13.57kg/年、αS1CN-BB型63.95kg/年およびβCN-A1A1型19.94kg/年、乳蛋白質量でκCN-BB型1.92kg/年、αS1CN-BC型1.59kg/年およびβCN-A1A1型5.45kg/年、乳脂肪量でκCN-BB型2.28kg/年、αS1CN-BC型0.97kg/年およびβCN-A1A1型1.87kg/年の遺伝的改良量であった。したがって、カゼイン遺伝子はκおよびαS1CNにおいてB遺伝子、そしてβCNはA1遺伝子の存在で乳量、乳成分量の増加が期待される。