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酪農試験場

根釧農試研究通信9号の5

根釧農試 研究通信  第9号

1999年3月発行)

研究成果

5.牧草サイレージの調製条件とタンパク質の分画との関連

酪農第一科

1.試験のねらい

飼料中のタンパク質は、従来、粗タンパク質としてのみ評価されていましたが、近年、乳牛の消化生理を考慮して、図1(省略)のようにさらに細かく区分して飼料を給与することが必要となってきました。

そこで、草地酪農地帯の主要な粗飼料である牧草サイレージのタンパク質分画を明らかにするとともに、サイレージの調製条件が牧草サイレージのタンパク質分画に及ぼす影響を明らかにしました。

2.試験の方法

チモシー主幹牧草を原料草として用い、牧草サイレージの水分含量、刈取時期、調製形態およびギ酸添加の処理を設けてサイレージ調製しました。調製したサイレージは凍結乾燥して分析しました。

3.結果の概要

【サイレージの水分含量】

図2(省略)にサイレージノ水分含量とタンパク質分画の関係を示しました。水分含量が55%以下に低下すると、溶解性タンパク質割合は減少し、非分解性タンパク質割合は高まる傾向が見られます。ロールサイレージ以外の細切サイレージでは、水分含量が55%以上の中水分または高水分でサイレージ調製する場合が多いと思われますが、このような水分域では、水分含量がタンパク質分画に及ぼす影響は少ないと考えられます。

【原料草の刈取ステージ】

出穂期に調製したサイレージに比べて、刈り遅れの結実期、2番草(1番草刈取後77日)では、溶解性タンパク質が低く、非分解性タンパク質割合は高い傾向が見られました(図3:省略)。結実期や今回用いた2番草の原材料は、出穂期の原料草に比べて、繊維(NDF)と結合したタンパク質含量が多く、このことが溶解性タンパク質割合を低くしたと考えられます。また、結実期に調製したサイレージの結合性タンパク質割合は、出穂期調製のサイレージ4%に比べて、10%と多くなりました。

【その他】

ギ酸を添加した場合、ロールサイレージで排汁流出が見られる場合では、溶解性タンパク質が低下しました。