水産研究本部

試験研究は今 No.10「カレイ類の種苗生産技術はどこまで進んでいるか」(1989月11年10日)

試験研究は今 No.10「カレイ類の種苗生産技術はどこまで進んでいるか」(1989月11年10日)

Q&Aは平成元年度水産試験研究プラザの質問からです。

Q&A カレイ類の種苗生産技術はどこまで進んでいますか?

栽培漁業総合センター
  カレイ類といわれるものには、皆さんお馴染みのマガレイ、マツカワ(タンタカ)、ババガレイ、ソウハチなどがあげられます。

  こうしたカレイ類の種苗生産は全国的にみても企業化の段階まで到達しているものはありませんが、日本栽培漁業協会などによると、今のところ、10万尾程度の量産が期待されている魚種にイシガレイやマガレイ、クロガシラガレイがあり、また基礎的な技術開発の段階のものにババガレイ、アカガレイ、マツカワなどがあります。

  現在、開発中のこれら種苗の生産技術についてはヒラメで得られた知見が多分に応用されています。例えば、成長に合わせて、ワムシ→アルテミア孵化幼生→幼生アルテミア及び配合餌料を給餌する方法がそうです。

  しかし、この給餌方法によると、マガレイやマツカワでは、ヒラメ以上に、有眼側の体の色が白くなったり、無眼側の体の色が黒くなったりする問題が生じていますし、また、眼の位置が不完全であったりする形態異常も多く出現しています。これらの原因は各発育段階における水温や塩分、光の量などの必要な環境条件や、ワムシ、アルテミア孵化幼生などの給餌量や餌質を十分に把握していないことによると考えられます。

  種苗生産を行う前提として、まず何よりも質の良い卵や仔魚を大量に安定して確保することが大切となります。しかし、その卵の確保については、カレイ類の場合、サケなどとは違い飼育池で自然に産卵させる方法が望ましいといわれていますが、今のところ、日栽協では漁獲された親魚を使っての人工受精による採卵を行っていますので、質の良い受精卵を大量に確保するのは難しい状況にあります。

  こうした問題を乗り超えるためには、未成魚の段階から飼育し、人工的な環境の中でも産卵できるような親魚をつくっていく必要があります。

  道立栽培漁業総合センターでは,ヒラメに続く種としてマツカワを予定しており、日栽協厚岸事業所から譲り受けた8センチメートル程度の未成魚を使って、それを親魚に仕立てていくなど、基礎的な種苗生産技術の開発に着手したいと考えています。
(栽培漁業総合センター)

トピックス

渡島、胆振地区ケガニ資源対策検討会を開催

  10月5日、6日、虻田町と森町においてそれぞれ噴火湾のケガニ資源対策検討会が開催されました。

  道からは水産部漁業管理課をはじめ、渡島、胆振支庁、関係水産指導所及び函館水産試験場、同室蘭支場が参加し、現地からは、ケガニかご漁業者、カレイ刺網漁業、漁協役職員など多数が出席して行なわれました。席上、水産部からはケガニ漁業の現状と問題点について、函館水試からはケガニの生態と資源状況及び現在進めているケガニ資源増大試験の状況についての説明があり,今後の適正な漁業のあり方について全体討議が行われました。漁業者からは自主禁漁体制、保護区の設定、.密漁監視の状況説明について意見、質問が出されました。なかでも密漁問題については、漁業者、行政、試験研究機関が生態的知識や資源状況の認識に基づき、それぞれがどのような役割を果たしていくのか、さらに具体的にどのような対策を行うのかについて活発な意見交換がありました。また、両地区から、ケガニ資源ばかりでなく、噴火湾全体の水産資源の維持増大、漁業管理についての検討会を開催する必要があるとの要望があり、今後の課題としました。
(函館水試)

漁協青年部に対する潜水調査法の技術講習会を開催

  水産試験研究プラザで上ノ国漁協から要望のあった潜水調査法についての講習会を10月7日、上ノ国町で開催しました。これは北海道の「どさんこ事業」の一環として漁協青年部を対象に実施したものです。その内容は、前浜のうに・あわび等の資源や分布状況がどのようになっているのかを自分たちで調査する方法や生態観察の仕方について実技をとおして身につけるというものです。

  参加した漁協の青年部員たちはこの講習会で大きな自信をつけ、青年部一丸とな.って前浜資源の増大に向け、取り組むことを誓っていました。
(函館水試)