水産研究本部

試験研究は今 No.145「網走市水産化学センターを訪ねて」(1993年5月28日)

-浜の声- 浜ウォッチング 網走市水産科学センターを訪ねて

坂崎主査
今回は、網走市能取港町の網走市水産科学センター(水産科学センター・川と湖の学習館)を訪ね、坂崎主査(網走市)にお話をお聞きしました。

この施設はいつ建てられましたか?
昨年(平成4年)の6月19日です。

どのような目的で設立されましたか?簡単に教えて下さい。
以前に、網走と西網走の両組合から同じ網走市内で、同じような調査・研究業務をしているので、なんとか集約一元化した施設を設置してもらえないかという要望が市役所のほうにありました。それでこの度、網走市の沿岸と内水面における総合的な漁業振興を目的として設立することが出来ました。(川と湖の学習館は道の内水面地域活性化事業の補助を受けている)。

主にどんなことが行われていますか?

最初に水産増養殖に関する調査研究があげられます。ホタテガイの天然採苗安定のための調査やワカサギ、クロガシラカレイ、ホッカイエビの資源管理等です。次に、これらの結果を漁業関係者にお知らせしています。また、「川と湖の学習館」等を通じて市民へ自然保護や環境保全の啓蒙普及活動もしています。

ほかには、どんなことがありますか?
平成元年度に出された網走市の水産振興計画(10年間)の検討などもここで行います。ゼミも開催しますし、解放型の試験研究施設として各試験研究機関等に利用させています。

水試も利用させていただいてますが、ここの施設の特徴は?
基本的に網走の水産業に有意義なことでしたら、すべて無料で解放しています。それに、ここの大きな特徴は海水や淡水の揚水施設があって飼育実験が出来ることです。

どんな飼育実験が行われていますか?

水試ではホタテガイ、孵化場ではワカサギ等です。市独自ではマツカワを手がけています。まだ漁業になるかどうか分からない状態ですが、パイロット的な意味合いもあってやり始めましたが、期待しています。
水試にもない揚水施設が魅力ですね。先ほどゼミの話が出ていましたが…
ゼミもそうですが、3月に「湖の環境と漁業を考える」と題したシンポジウムを網走セントラルホテルで開催しました。

どんな内容でしたか?

私も「網走4湖沼の概要について」と題する報告をしましたが、道立水産孵化場、東京農業大学、網走水試、西網走漁協から、それぞれ網走湖の環境、プランクトン、底生動物、魚貝類などに関する報告が行われました。
ここには図書室がありますが?
行く行くは、網走の水産業に関するすべての文献をここに集約して市民に利用してもらいたいと思っています。

ところで、坂崎主査は常駐ですか、他の方はどうなんですか?
私一人が常勤で、網走と西網走から各1名が非常勤で来ています。それと、ここの費用は市と網走、西網走の組合が3者で3分の1ずつ負担しています。

まとめてみますと、このセンターは、網走の2漁協のホタテガイー斉調査や資源量調査等の調査・研究を集約することによって効率よく結果が得られ、経費の節減も出来ますね。次に、実験室等を試験研究機関等に解放することにより、揚水施設等で、より幅の広い研究が出来るようになったことですね。そして、市民に内水面を含めた網走の水産業をより詳しく知ってもらえるようになったことでしょうか。
だいたいそうですね。

では、次に「川と湖の学習館」について少し説明していただけますか?
「湖のでき方」、「4湖のあらまし」、「魚貝類の生活史」、「湖の漁業、育てる漁業」、「湖の風物詩」のコーナーがあり、また「飼育観察室」では、「海水」や「淡水」に住む魚たちの様子を飼育水槽で観察することができます。子供たちもよく見学に来ますが、自分の目で見ながら勉強することができます。

観察水槽ではどのような魚だちが見られますか?

ホタテガイ、ヌマガレイ、ホッカイエビ、ワカサギ、ヤマトシジミ、クロガシラカレイ、スジエビなどが見られます。

能取湖は海水湖で、網走湖、藻琴湖、涛沸湖は汽水湖ですが、どんな魚貝類が漁獲されますか?

能取湖はクロガシラカレイ、チカ、ホッカイエビ、ホタテガイ、エゾバフンウニ、網走湖はワカサギ、シラウオ、ヤマトシジミ、スジエビ、藻琴湖はワカサギ、ヤマトシジミ、カキ、涛沸湖はワカサギ、イトヨ、スジエビなどです。

たいへん見応えのある施設ですが、開館からこれまでにどのくらいの人が入場されましたか?
昨年の6月から正確には、4,542人です。

また、水槽の魚たちに会いにきます。主査、今日はお忙しいところどうもありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。(網走水試 企画総務部)

    • 水産科学センターと坂崎主査