水産研究本部

試験研究は今 No.253「エゾバフンウニ人工種苗生産と放流及び生産状況について」(1996年2月9日)

エゾバフンウ二人工種苗生産と放流及び生産状況について

  各地区水産指導所では毎年ウニ種苗の生産・中間育成・放流状況について調査しており、その情報を専門技術員が取りまとめましたので、結果を紹介致します。

1.種苗生産施設

  北海道におけるエゾバフンウニの人工種苗生産は、現在[図-1]に示すように全道24ヶ所の種苗生産施設(沈着期幼生からの飼育施設を含む)あり、人工種苗の生産を行っています。
    • 図1

2.種苗生産数

  平成元年からの種苗生産数の推移を[図-2]に示しましたが、平成6年の種苗生産数は、殻径がほぼ5ミリメートル以上のもので、約4,884万粒であり、更に5ミリメートル以下の生産数も加えると7,135万粒にのぼり、生産数は年々増加しています。
    • 図2

3.中間育成数、方法、生残・成長

  平成6年にウニ種苗を受給した78漁協の内、中間育成を行ったのは48漁協で総育成数量は、1,927万粒であり、育成期間の平均生残率は62%でした。(沈着期幼生の継続飼育を除く)

  中間育成の方法、漁協数、その平均生残率は、(1)海中の垂下籠育成は35漁協で69%の平均生残、(2)陸上水槽は5漁協で93%、(3)海中溝やブール等は6漁協で11%、その他は(4)造成漁場などへの粗放的放流方式で3漁協:生残不明でした。(複数の方法の漁協あり。)中間育成のサイズは、ほとんどの漁協が5ミリメートル以上の種苗で開始しており、育成終了時に15メートル以上に育成した漁協は34漁協(全体の71%)に及びます。

4.種苗放流

  種苗生産数の増加に伴い放流数も年々増加しており、平成6年は78漁協で実施し、総計で6,616万粒が放流されました。[図-3]に種苗のサイズ別放流数の内訳を示しましたが、10ミリメートル以上で放流された種苗の総数は1,832万粒で、放流総数の28%にどまっており、小型種苗で直接放流されている数が圧倒的に多い現状です。放流時の大きさ(殻径)、密度については各地区の条件で、どの程度が最も効率的か、早急に明らかにする必要があると思われます。
    • 図3

5.生産量の推移

 [図-4]に平成元年からの全道のエゾバフンウニの生産量の推移を示しました。平成4年までは減少傾向でしたが、平成5年には平成3年程度まで回復し、平成6年も生産量は若干伸びています。支庁別には根室、網走、釧路、後志は依然低迷、・又は減少傾向ですが、渡島、留萌、日高は急激な減少傾向から増加に転じています。また、桧山、十勝は回復傾向が見られます。これが単純に放流効果とは断定できませんが、今後の調査が待たれるところです。
    • 図4

6.ウニ栽培漁業協議会について

さて、平成6年度に「北海道ウニ栽培漁業協議会」が設置され、各水試の専技が中心となり、ブロックごとの協議会が活動を開始しています。モデル事業の実施、「種苗放流マニュアル」の普及、放流効果の把握などに取組み、効率的なウニ栽培漁業の定着を図っていく予定です。(水産部漁政課水産業専門技術員)