水産研究本部

試験研究は今 No.457「ホタテガイの写真法による資源量推定-2001年結果速報」(2001年8月29日)

ホタテガイの写真法による資源量推定-2001年結果速報

  平成11年度から実施している委託研究「ホタテガイの成長特性と適正利用に関する研究」も今年で3年目を迎えました。平成13年度分の写真法によるホタテガイ資源量推定調査は常呂C海区の放流3年貝(1998年採苗、1999年放流)を対象に2001年8月に実施し、現在、解析に取り掛ったところです。そのうち、層別抽出法による密度算出と分布型の検定が終了したので、それについて報告します。

  表1に示したように、平均密度は6.38個体/平方メートルで、過去2年間と同様高密度が維持されています。また、ホタテガイの漁場における分布の程度を示すIδの検定結果から、3年間、集中分布が維持されており、2001年度の密度の頻度分布が示すとおり(図1)、常呂C海区内のホタテガイ密度は、放流3年目でも相当なバラつきが存在することを示しています。

調査対象 平均密度(平方メートル) 標準誤差 F 自由度 P 分布型
放流1年貝
1999年8月
9.98 0.36 2.10 6.50 636 ≒0 集中分布
放流2年貝
2000年8月
5.73 0.26 1.33 2.94 567 ≒0 集中分布
放流3年貝
2001年8月
6.38 0.30 1.38 3.45 582 ≒0 集中分布
 表1.常呂C海区における写真法調査結果
    • 図1.常呂C海区における密度の頻度分布
  来年度は常呂C海区のホタテガイが放流4年貝に達し、漁獲時期を迎えます。これで放流時から漁獲までの漁場における密度の追跡が完了し、漁場における成長を密度、水温、クロロフィルa量のような環境要因から量的に説明できるかどうかの解析を実施する予定です。
(網走水産試験場資源増殖部栽培技術科長 桒原 康裕)