平成14年度の網走管内ケガニ漁場一斉調査(市場調査)結果
この調査はケガニかご漁業の初漁期の資源状況(漁獲される尾数や甲殻の状態など)やその漁期中の変化を把握する目的で、行われています。初漁期に毎年1回の「市場調査」と、全漁期を通じる「まかご一杯の資源調査」とがあります。
「まかご一杯の資源調査」は、操業中のすべての船で毎月2回、漁業者の手によって実施されています。また、宗谷支庁管内でもこれら漁場一斉調査が行われていて、その調査結果は稚内水試が取りまとめています。この報告では市場調査について述べます。
今年度の網走支庁管内の市場調査は担当漁協とその所属漁船8隻(表1)、水産試験場、水産指導所、支庁水産課とが協力して、平成14年4月22日~26日に調査を行ないました。
表1 調査海域と隻数
紋別漁協のうち1隻は、時化のため調査できず。
「まかご一杯の資源調査」は、操業中のすべての船で毎月2回、漁業者の手によって実施されています。また、宗谷支庁管内でもこれら漁場一斉調査が行われていて、その調査結果は稚内水試が取りまとめています。この報告では市場調査について述べます。
今年度の網走支庁管内の市場調査は担当漁協とその所属漁船8隻(表1)、水産試験場、水産指導所、支庁水産課とが協力して、平成14年4月22日~26日に調査を行ないました。
表1 調査海域と隻数
海域 | 担当漁協 | 隻数 |
網走西部海域 | 沙留漁協 | 2 |
〃 | 紋別漁協 | 2 |
網走中部海域 | 常呂漁協 | 2 |
網走東部海域 | 網走漁協 | 1 |
〃 | 斜里第一漁協 | 1 |
紋別漁協のうち1隻は、時化のため調査できず。 |
1.調査方法
各船は通常の漁場で操業し、漁獲されたケガニを選別せずにコンテナ1杯(約40キログラム)になるまで採集します。このときコンテナが1杯になるまでのカニかごの数も記録します。採集したケガニは港に水揚げし、性別や雄ガニはさらに「堅若」の別に分けて、甲長や体重などを測定します。測定の後、甲長8センチメートル以上の堅ガニは出荷され、それ以外のケガニは漁場へ放流されます。
2.調査結果
ここでは漁獲された雄ケガニの尾数について、100カゴ当たりに換算した数(CPUE)を使って述べます。
・堅ガニの比率について
ケガニは、ある時期になって脱皮(成長)すると甲殻が新しくて柔らかい状態になります。それが硬く回復する途中にあるケガニを「若ガニ」と呼び、ほぼ完全に甲殻が硬く回復した状態のカニを「堅ガニ」と呼んで、一般的に区別しています(いわゆる「身入り」も堅ガニに近づくほどに良くなってきます。値段も同様です)。図1に、この調査で採集されたケガニの堅若や大きさによる類別、またそれらと漁獲との関係を示しました。
漁期前半は資源を有効に利用する目的から、カゴに入ったケガニのうちでも甲長8センチメートル以上の堅ガニだけを選んで水揚げすることになっています。したがって若ガニを含めたケガニ全体の資源量だけではなく、堅ガニと若ガニの比率がこの時期の漁業には大きく影響することになります。
図2に示したように一斉調査での堅ガニの比率は年によって大きく変動しています。昨年は管内全域で堅ガニの比率が80~99パーセントと非常に高くなっていました。一方、今年は14~22パーセントで、一転して低い値となりました。調査の時期は毎年ほぼ一定であることから、これは脱皮時期の年による変動に影響されているものと思われます。
・甲長8センチメートル以上の堅ガニの尾数
甲長8センチメートル以上の雄の堅ガニのCPUEは管内平均1隻あたり68尾で、昨年の約1/3でした。海域別には東部海域が昨年の約1.5倍でしたが、中部海域が約10パーセント減少、西部海域が74パーセントの減少でした。またこの調査が開始されて以来16年間の平均値(以下、「過去の平均値」)との比較では、西部海域が0.6倍、中部海域が0.5倍、東部海域が1.4倍となり、管内平均では0.5倍となりました。
・甲長8センチメートル以上の若ガニの尾数
漁期後半から次年度以降に漁獲の対象となる甲長8センチメートル以上の若ガニのCPUEは、1隻当たり管内平均で277尾で、昨年の約5倍となりました。なかでも8~9センチメートル(銘柄:「若小」)のものが、昨年の11.5倍となっています。過去の平均値との比較では西部海域1.2倍、中部海域が1.6倍、東部海域は3.8倍であり、調査開始以降では最高の値となりました。
・雄ケガニ全部の尾数
堅ガニと若ガニの両方を合わせた甲長8センチメートル以上の雄ケガニ全部のCPUEは、1隻当たり管内平均で345尾でした。昨年からは30パーセントの増加ですが、ほぼ過去の平均値並みの値です。海域ごとにみると、東部海域は294尾で調査開始以来最高の値なのですが、中部海域やもともと資源量が特に多い西部海域が平均的な値であったため、管内全体としては過去の平均値並みの値となりました。
同様に、甲長8センチメートル未満は管内平均で154尾、昨年の1.8倍でした。西部から中部にかけての海域では昨年の1.4~1.6倍でしたが、東部海域で3.8倍と大きく増加しました。過去の平均値との比較では、中部海域が約0.5倍、東部海域が3.0倍で、西部海域や管内全体ではほとんど過去の平均値と同じでした。しかしこれを堅若別にみると、若ガニが西部海域では過去の平均値の1.7倍、中部海域が1.2倍、東部海域が4.1倍となっています。
・堅ガニの比率について
ケガニは、ある時期になって脱皮(成長)すると甲殻が新しくて柔らかい状態になります。それが硬く回復する途中にあるケガニを「若ガニ」と呼び、ほぼ完全に甲殻が硬く回復した状態のカニを「堅ガニ」と呼んで、一般的に区別しています(いわゆる「身入り」も堅ガニに近づくほどに良くなってきます。値段も同様です)。図1に、この調査で採集されたケガニの堅若や大きさによる類別、またそれらと漁獲との関係を示しました。
漁期前半は資源を有効に利用する目的から、カゴに入ったケガニのうちでも甲長8センチメートル以上の堅ガニだけを選んで水揚げすることになっています。したがって若ガニを含めたケガニ全体の資源量だけではなく、堅ガニと若ガニの比率がこの時期の漁業には大きく影響することになります。
図2に示したように一斉調査での堅ガニの比率は年によって大きく変動しています。昨年は管内全域で堅ガニの比率が80~99パーセントと非常に高くなっていました。一方、今年は14~22パーセントで、一転して低い値となりました。調査の時期は毎年ほぼ一定であることから、これは脱皮時期の年による変動に影響されているものと思われます。
・甲長8センチメートル以上の堅ガニの尾数
甲長8センチメートル以上の雄の堅ガニのCPUEは管内平均1隻あたり68尾で、昨年の約1/3でした。海域別には東部海域が昨年の約1.5倍でしたが、中部海域が約10パーセント減少、西部海域が74パーセントの減少でした。またこの調査が開始されて以来16年間の平均値(以下、「過去の平均値」)との比較では、西部海域が0.6倍、中部海域が0.5倍、東部海域が1.4倍となり、管内平均では0.5倍となりました。
・甲長8センチメートル以上の若ガニの尾数
漁期後半から次年度以降に漁獲の対象となる甲長8センチメートル以上の若ガニのCPUEは、1隻当たり管内平均で277尾で、昨年の約5倍となりました。なかでも8~9センチメートル(銘柄:「若小」)のものが、昨年の11.5倍となっています。過去の平均値との比較では西部海域1.2倍、中部海域が1.6倍、東部海域は3.8倍であり、調査開始以降では最高の値となりました。
・雄ケガニ全部の尾数
堅ガニと若ガニの両方を合わせた甲長8センチメートル以上の雄ケガニ全部のCPUEは、1隻当たり管内平均で345尾でした。昨年からは30パーセントの増加ですが、ほぼ過去の平均値並みの値です。海域ごとにみると、東部海域は294尾で調査開始以来最高の値なのですが、中部海域やもともと資源量が特に多い西部海域が平均的な値であったため、管内全体としては過去の平均値並みの値となりました。
同様に、甲長8センチメートル未満は管内平均で154尾、昨年の1.8倍でした。西部から中部にかけての海域では昨年の1.4~1.6倍でしたが、東部海域で3.8倍と大きく増加しました。過去の平均値との比較では、中部海域が約0.5倍、東部海域が3.0倍で、西部海域や管内全体ではほとんど過去の平均値と同じでした。しかしこれを堅若別にみると、若ガニが西部海域では過去の平均値の1.7倍、中部海域が1.2倍、東部海域が4.1倍となっています。
まとめ
- 堅ガニの比率が低かった。
- 堅ガニの漁獲尾数は東部海域以外では、やや少なかった。
- 若ガニの漁獲尾数は管内全域で過去の平均を上回った(特に東部海域)。
なお冒頭に述べた「まかご一杯の資源調査」の4月下旬までの結果でも、今回の一斉調査とほぼ同様の傾向が認められています。
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図1
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- 一斉調査では、通常操業と同じ3.8寸目のカゴが使用されるため、約6.5センチメートル以下のカニは採取されません。
- 6.5センチメートル以下を含めた資源状況については2寸目合のカゴを使用する「資源密度調査」で調べる予定 です。
- 雌はすべて漁獲が禁止されています。
網走水産試験場資源管理部 野澤 靖
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ケガニ水揚げ作業
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ケガニ測定作業
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一斉調査(4月下旬)で採集されたケガニの類別
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図2 8cm以上の雄ケガニ1隻・100カゴ 当たりの尾数と堅ガニの割合
「小」8cm以上9cm未満/「中」9cm以上10cm未満/「大」10cm以上
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