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林産試験場

エクステリア

企画指導部デザイン科長 金森 勝義


 

住宅まわりの木製エクステリアはうるおいや癒しのある生活空を演出するとともに,街並みとの調和を図る役割を担っています。
ミニハウスとウッドデッキ

はじめに
ガーデニングはブームのピークが去り,新しいライフスタイルとして定着し始め,庭という外部空間にもリビングのような快適性が求められています。すなわち,日本の住宅事情や気候風土などに適合させたガーデニングが芽生え始め,これまでの敷地境界を構成するためのエクステリアから,リビングの延長としてのエクステリアへと変化しています。
一方,エクステリアの材料はこれまでアルミ合金,スチールおよびプラスチックなどでしたが,健康,環境,感性などの観点から木材を使ったものがかなり増えています。例えば,デッキ,パーゴラ,トレリス,ラチスフェンスなどが代表的なものであり,特にデッキの市場は,この4~5年の間で約3倍に拡大したともいわれています。
そこで,最近の住宅まわりに木材がどのように使われているのか,いくつか事例を紹介します。家づくりや庭づくりの参考にしていただければと思います。


エクステリアとガーデニング
本題の説明の前に,エクステリアとガーデニングの言葉使いについて簡単に整理しておきたいと思います。
先ず,エクステリアとは本来,インテリアに対して「外,外側の」を意味していましたが,昭和50年頃から住宅の門扉やフェンスなどに限定して用いた日本的で,しかも現代的な言葉として派生しました。その後,この言葉の意味する範囲が少しずつ拡大され,住宅以外に公共の外部空間で使われる資材や製品なども含まれるようになってきました。なお,エクステリアのうち,木材を使ったものは「エクステリアウッド」と呼ばれています。
次に,ガーデニングとはもともと,欧米では園芸や庭づくりを意味し,園芸業者などの関係者によって一般的に使われている用語です。わが国ではこれまで園芸には「ホーティカルチャー(Horticulture)」という英語を使っていましたが,園芸ブームによって,マンションのベランダなどで床に木製デッキを敷き,プランター,ハンギングバスケットおよびトレリスなどで草花を飾り楽しむための作業をガーデニングと呼ぶことが多いようです。

製品事例
住宅まわりで最近良く見られるエクステリアウッドについて, 「花フェスタ’99旭川」の会場で展示されていたもの,北海道内のメーカや販売店などのカタログなどに掲載されていたものを参考に,商品ジャンル別に紹介します。

【デッキ】
デッキは,先程も触れましたように,住宅の外部空間のリビング化の動きの中で,急速に需要が伸びています。デッキとは本来,船の甲板や電車などの床を表す言葉ですが,最近は「デッキはデッキ」といった感が強くなり,住宅まわりに限らず,公共スペースでも木の床であればデッキと呼んでいるようです。

ウッドデッキ1 ウッドデッキ2
ウッドデッキ3 ウッドデッキ4

最近は大手アルミ製品メーカーが相次いでエクステリアウッドの分野に参入していることもあって,デッキは輸入材(イペ,ジャラ,レッドシーダー,サザンパインなど)や国産材(ヒノキ,スギなど)を使った木製のものが主流となっています。北海道のメーカーでは,道産カラマツ材を使ったデッキが製造・販売され,その一部は本州に出荷されています。
住宅向けデッキとしては一般に90~100・角の寸法にパネル化され,さらに土台,フェンス(パーテーション)およびパーゴラなどとともにセットで販売されているものが多いようです。日曜大工で組み立てたい方は,ホームセンターなどでキット商品を求めることができます。マンションのベランダ向けデッキとしては,約30・角のプラスチック枠の中に木レンガを挿入したものが普及しています。

 

【テラス】
サンルーム現在普及しているテラスは,光を取り入れながら雨を防ぐシェルターとして,柱脚部にスチールやアルミ合金を使い,屋根を樹脂板で仕上げたものが過半を占めています。本州などで最近見られる木製テラスは,木デッキの上に,柱と屋根の一部を木材で構成したものです。北海道では寒さや積雪の関係などから,テラスの需要はかなり少ないようです。

サンルームと呼ばれているものは,テラスと違って側(壁)面も,アルミ合金製フレームと樹脂板などで構成されたものです。これもテラスと同様に,温暖な地域ではかなり普及していますが,北海道では冬期間の利用などに難があるために,あまり普及していないようです。林産試験場では,欧州の寒冷地でも普及している木製ウィンターガーデンについて研究開発を行っています。詳細は林産試だより(’98年8月号)をご覧下さい。

 

【パーゴラ】
これは,藤やつるばらなどの植物を誘引して日陰をつくるための棚のことです。最近は本来の使用目的から離れて,木デッキやガーデンファニチャーなどと組み合わせてアウトドアの集まりの場としたり,それを庭づくりのアクセントとして設置するケースが増えています。公園や公共施設に設置されているものには柱に大理石やスチールなどを使ったものも見られますが,住宅用のものは木製のものが主流です。

パーゴラ

【ラチス】
これは格子や組み格子を表す言葉で,デッキ,パーゴラあるいはベランダなどに,フェンスやパーテーションとして使われているものを指しているようです。フェンス用途のものをラチスフェンスと呼ぶ場合もあるようです。ベランダガーデンの演出には,これに掛けたハンギングバスケットが欠かせないものになっています。
ラチスと同じように,格子を意味する言葉で,後述の「トレリス」があります。厳密な違いは分かりませんが, これはどちらかと言うと,プランターと組合わせて使う場合が多いようです。
現在市販されているものは輸入製品が多く,国内で製造されたものは少ないようです。寸法形状は規格化されたものはなく,メーカーによってさまざまで,枠付きと枠なしとに分けて販売されています。
ラチス1
ラチス2

【トレリス】
ラチスでも触れたように,植木鉢を掛けたり,プランターに植えた草花のつるをはわせたりするためなどに,薄い木材を格子状に組んだものです。製品の中には,支柱トレリスとか,アコーディオン引き戸のように伸び縮みが可能な伸縮トレリスと呼ばれるものも見られます。

トレリス

【プランター 】
国語辞典では「本来は飾り付きの草花容器のことで,小形の栽培容器」と記述されています。これまではプラスチック製のものがほとんどでしたが,最近になって木製のものが急増しています。プラスチック製プランターごと入れるもの,トレリスと組み合わせたものなどが見られます。輸入製品にはかなり安価なものが販売されています。植木鉢や植栽コンテナにも木製のものが増えています。

プランター1
プランター2