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コウモリガ

コウモリガ

写真1 穿孔状況。美唄、アオダモ。2009/9/18。

写真2 穿孔状況。美唄、アオダモ。2009/9/18。

写真3 蛹殻。写真2の拡大。

被害の特徴
樹 種 スギ、キリ、ポプラなど様々な樹木。
時 期 6~8月(幼虫加害時期)。
部 位 幼木の幹。
状 態 幹の根元ややや上に糸でつづられた糞や木くずのかたまりが付く。 塊のところの幹に穴や溝状の食べ痕がある。
6~8月では穴の中に幼虫や蛹がいる。
食害が幹を一周すると木が枯れる。
幼 虫 体長最大約60mm。体は黄色で、茶色の斑紋がある。
注) よく似た害虫にキマダラコウモリガがある。この種は幹の地際付近に潜る。

和名  コウモリガ

学名  Endoclyta excrescens

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera


寄主  スギ、キリ、ポプラ、ハンノキ、ウツギ、クリ、ナラ、プラタナス、ヤシャブシ、ヤナギ、ライラックなど。

生態  卵で越冬。翌春、孵化した幼虫は草の茎に潜る。草を食べてある程度成長し、6~7月に樹木に移動して加害する。幹の地際よりも高いところに穴を開けて潜る。幼虫は幹の中に垂直にトンネルを掘り、入り口を木くずや糞のかたまりでふさぐ。ときに樹皮下をぐるりと穿孔することがある。8月上旬頃、穴を糸でふさいで蛹になる。蛹は孔道内を自由に移動できるという。夏から初秋に成虫になる。雌成虫は夕方、飛び回りながら卵をばらまく。1雌平均約5000個の卵を産む。

被害と防除  キリ、スギ、ポプラ、ハンノキ、リンゴなどの小さな木で被害が起きる。木を衰弱したり、木材の質の低下につながる。樹皮をぐるりと食害することがあり、この場合は木が枯れる。幼齢林でときに多発するが、何年も継続した例は知られていない。
 有効な予防方法は確立されていない。被害木を処分し、植え直した方がよいと考えられる。緑化樹では糞の塊を取り除き、穴から針金を入れて中の幼虫を刺し殺す。


文献
[1994] 五十嵐正俊, 1994. コウモリガ. 小林富士雄・竹谷昭彦(編集), 森林昆虫, 総論・各論: 239-241. 養賢堂, 東京. (形態、生態、防除)

2001/10/6