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林業試験場

森林の土

 
森林の土
Part 1
Part 1土壌をつくる3つの条件と仕組み
成熟していく森林土壌
Part 2特に優れている温帯地方の森林土壌
土壌の材料になる主な岩石と特徴
Part 3森林の土の種類


 

土壌をつくる3つの条件と仕組み

気候温度と降水は,植物の種類と量,土壌のつくられ方のほか,土壌の材料になる岩石の風化を左右します。
地形気温や地面に当たる日射量に大きな差を与えるほか,降水量の分布も左右することから,植物や土壌動物さらに微生物の種類と生育に大きな影響を与えます。
また,土粒子は下方に移動するので,土壌層は斜面上部で薄く下部で厚くなります。
岩石土壌の材料となり,栄養,粘土,砂などの含有率を左右します。

ある場所の温度,水分,土砂の条件のもとで土壌生物が植物遺体を栄養源として生活する結果,その場所独持の土壌が造られます。以下に説明します。

 

成熟していく森林土壌

森林に入って落葉層をめくってみると,中のほうの落ち葉はボロボロになって,ほとんど形がなくなっていることに気がつきます。これは,バクテリアによる変質や,キノコの仲間の菌類による分解,さらにはトビムシやササラダニなどの小さい虫が食べた結果です。

トビムシ
トビムシ
体長 1~3㎜が多い
ササラダニ
ササラダニ
体長 0.2~1.5㎜が多い

青木淳一:土壌動物学より

 

それらの糞や落ち葉が分解されてどろどろの腐植成分になり,土の中に浸み込んでゆき,土の中でさらに微生物に分解されてゆきます。この過程で土は黒褐色にかわり,また軟らかくなるのです。ミミズによる孔隙が多い土壌の断面
ミミズによる孔隙が
多い土壌の断面
40㎝までは新しい火山灰,それ以下は
新第三紀層の風化物を材料にした土壌


 

また,ミミズは土の中にトンネルを掘って,堆肥状になった有機物を食べて栄養に富む糞を土壌深くに供給したり,空気や水の移動を盛んにしたりします。孔隙を満たすミミズの糞塊
孔隙を満たすミミズの糞塊


 

このように落ち葉を利用した生き物の活動の結果,生産力のある豊かな土で,しかも大雨の水もどんどん吸い込む高性能な森林の土が造られるのです。
地中に浸透した雨水はゆっくりと川に流れ出すので,沢水が濁りにくいし洪水も起きにくくなります。
こうして,森林土壌は川や海の生き物にも良い環境を与えています。


 

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