森林の土(2)
![]() | 森林の土 Part 2 |
特に優れている温帯地方の森林土壌
温帯の森林では,落ち葉の供給と分解の速度が程よく釣り合い,森林土壌は時間と共により深く,より軟らかく成熟していきます。
寒い地方ではこれらの生き物の活動が小さく,落ち葉の分解が遅いため貯ってしまい,植物の栄養になる成分の循環が悪くなります。
逆に熱帯地方では落ち葉の分解が速すぎるので,有機物が少ない硬い土壌が造られます。
砂漠では森林も土壌動物も生存できないので,土壌はできません。
土壌の「壌」について
壌の字のつくりの部分は,熟していて「まろやか」な状態を表し,「豊穣,醸造,嬢,譲」などの字をつくっています。壌は,土が硬い土砂層から軟らかに成熟した状態を表す最適な字なのです。
土壌の材料になる主な岩石と特徴
(北海道の民有林の分布する地域を対象に説明します。なお,国有林が分布する奥地は,古い地質からなる場合が多く,急峻で標高も高くなっています)
新第三紀の堆積岩 | |
2,400万年前から170万年前の間に堆積した砂岩,泥岩,火山灰からなっています。栄養分は安山岩より少な目で,黄褐色の土をつくります。全道各地に分布し,低山帯や丘陵を形成します。 | ![]() 新第三紀層の風化物による 適潤性褐色森林土(BD) |
洪積世の堆積物 |
170万年前から1万年前の間に堆積した砂,礫,粘土などで,固結していません。粘土分が多く灰色の重い土壌がよく見られ,生産性は低めです。平野と低山帯の中間地帯にあって台地を形成しています。 |
溶岩 | |
ほとんどが安山岩です。同岩からは生産性が高く茶色系の土が生成します。独立峰や山塊を形成します(ピヤシリ山,狩場山,暑寒別岳,大雪山,十勝岳連峰,ニセコなど)。 | ![]() 安山岩の風化物による 適潤性褐色森林土(BD) |
新しい火山灰 | |
1万年前から現在まで(沖積世)の火山灰で,図のように北海道の南半分に分布しています。 このうち,数百年以内の降灰は,有珠山,樽前山,駒ヶ岳,雌阿寒岳などでみられ,灰白色の軽石状~砂状を呈します。しだいに腐植分と結合して真っ黒な土壌を造ります。 | ![]() 北海道の沖積世火山噴出物の分布 (この資料は新しくありませんが, 分布の傾向を知ることができます) |