第38回 きたねばり
「きたねばり」の誕生
~やものいも品種改良の長い道のり~
こんなお話をしました
十勝の代表的な作物である「ながいも」は、植物分類上「やまいも」の仲間に属し、「じねんじょ」「やまのいも」「だいじょ」に分けられます。日本のいもの中で唯一の在来種である「じねんじょ」とは別種である「やまのいも」は、いもの形状により「ながいも」「いちょういも」「つくねいも」の3種に分けられ、17世紀頃中国から渡来し、日本各地に広がり栽培されました。
十勝のながいも生産は、導入されて40年程度と歴史は浅いのですが、現在は、高い栽培技術により全国1位の収穫量を誇り、その一部は台湾、アメリカなどの海外へ輸出されています。
十勝のながいも栽培は、4月から種いもの準備が始まり、5月には畑に種いもを植え付けし、11月の収穫にいたるまで、生産者が丹精こめて栽培しています。十勝産のながいもは、外観が白くて美しく、府県産のながいもに比べ優れた品質をもっています。病害の発生が少ないために農薬の散布回数が少ない北海道のながいもは、安心・安全な北の食材の一つです。
そういった状況の中で、十勝向けの新たな「やまのいも」品種を目指して、地元の農協と共同で品種育成の取り組みが20年前から十勝農業試験場で開始されました。これは、母親となる「いちょういも」から高品質性と耐病性を、父親となる「ながいも」から低温肥大性をそれぞれあわせもった品種の育成が目標でした。育成の過程では、交配種子が採れないため実生個体数(みしょうこたいすう:種子から育つ植物個体数)が増えなかったり、理想的な形状のいもの発生頻度が極端に低いなど容易には目標とする品種をつくることができませんでした。
平成22年度には、ついに短根で高品質、耐病性を持ったやまのいもの新品種「十勝3号」(品種名:きたねばり)の育成に成功しました。現在は、「きたねばり」を十勝の新たなブランド品種にするために、各種イベントでとろろの試食を実施して「きたねばり」の高品質性を消費者にアピ-ルしています。また、「十勝パンを創る会」の協力でパン生地に「きたねばり」を練り込んだ新商品開発などに取り組んでいます。
質問にお答えします
質問 | 回答 |
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ながいもは、春掘りと秋掘りでは、どのような違いがありますか。(育成、出来映え等) |
いもの大きさや形には違いはありません。春掘りのメリットは、秋の収穫時(11月)のいもの鮮度や品質を翌年の春(4月)まで保持できることです。つまり、美味しく育ったながいもを翌年の春まで、同じ状態で保存できるのです。ただし、春掘りは、雪が少なく冬の寒さがより厳しい地域では凍害を受けるため、実施できません。 |
さらに詳しく知りたい方は・・・
動画(道総研公式チャンネル)
案内チラシ