第12回 チシマザクラの魅力
北海道発オンリーワン! チシマザクラの魅力
2011年4月26日(火)
森林研究本部 林業試験場 佐藤 孝夫(さとう たかお)
こんなお話をしました
北海道に自生するチシマザクラの特徴は、幹が立ち上がらす、根元から分かれて横や斜め上に伸びること、花はエゾヤマザクラやソメイヨシノよりも小さく、香りがすること、そして、花の色や木の形に変異が多いことです。
チシマザクラの変異について少し詳しくみていくと、枝の伸び方については、横に伸びるもの、斜め上に伸びるもの、横にも斜めにも伸びるものがあり、これによって樹形の変異があらわれます。また、花については、花びらが紅色や白色のもの、中央に赤い筋が入ったもの、まるいもの、細長いものなど色や形に変異がみられるほか、八重に咲くものや小手毬のように咲くもの、ブラシのように枝にびっしりと咲くものなど咲き方にも変異がみられます。
このように、じつに個性的なチシマザクラは、根室管内では、公共施設の前庭や神社仏閣、学校などに広く植えられていますが、札幌市や三笠市、幌加内町、和寒町の公園などにも植えられており、道内各地の山にも自生しています。
この中で、もっとも有名なものは、根室市の清隆寺の境内に植えられている個体で、根室管内に植えられているチシマザクラは、この木の種子から広まったものと言われています。また、もっとも大きなものは、別海町の野付小学校に植えられている個体で、高さが6m、枝の広がりが15mにもなります。
チシマザクラは一般的には種子で増やしますが、林業試験場では、組織培養によって効率的に増殖する技術を研究しており、この方法によって「国後陽紅」(紅色のチシマザクラ)という品種を開発しました。
また、庭で育てられるのが一般的ですが、鉢植えでも花を咲かせることができます。そのため、マンションにお住まいの方がベランダで育てたり、花見に行けない方にレンタルするなど、さまざまな活用方法が考えられます。今後は北海道から日本各地へ、さらには国外にもチシマザクラを広めていきたいと考えています。
質問にお答えします
質問 |
回答 |
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強い整姿・せん定に耐えられますか? |
耐えられます。
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樹高が低く株立状なので、冬囲いは必要ですか? | 必要ですが、小さな時から冬囲いをしなければそれなりに育ちます。ただし当初は枝が折れます。朱鞠内湖では積雪以上ありますが、冬囲いはされておりません。 |
枝ダレのチシマザクラも実在しますか? | まだ未確認ですが、可能性はないとはいえません。 |
肥料の要求度合いは大きいのですか、小さいのですか? | 樹木ですので、あまり要求は強くありません。 |
八重のお花でもきちんと受粉できますか? | 八重咲き個体の所在地は遠いので結実は確認していませんが、たぶん難しいと思います。 |
個体差がこんなに激しいのに、種子ができますか? | 種子はできますが、親と同じ物はほとんどできません。 |
さらに詳しく知りたい方は・・・
動画(道総研公式チャンネル)
当日の資料(チシマザクラの魅力1.zip ; チシマザクラの魅力2.zip)
※デスクトップなどにzipファイルを保存し、作成されたzipフォルダーからスライドファイルをデスクトップ等に移動して、ご覧ください。
参考サイト等
サクラ最前線-育て方と名所-(林業試験場普及用CD-ROM集ページの左側下にあります)
案内チラシ
ご協力いただきました
ドトールコーヒーショップ北海道庁店
(株)北海道新聞情報研究所花新聞ほっかいどう編集室
(株)日本旅行北海道札幌支店
独立行政法人寒地土木研究所(千島桜並木一般公開)
根室市