法人本部

第17回 北海地鶏Ⅱ

おいしいトリの話 「北海地鶏Ⅱ」のご紹介

2011年7月28日(木)
農業研究本部 畜産試験場  國重 享子(くにしげ きょうこ)

こんなお話をしました

   鶏肉や鶏卵はとても身近な食材で、日本では1年間に一人あたり鶏卵を16.5kg、鶏肉を11.0kg消費しています。

それでは、どのような鶏が、どのように鶏肉や鶏卵を生産しているのでしょうか。

鶏卵を生産する鶏は「採卵鶏」と呼ばれる鶏で、ふ化から150日位で卵を産み始め、その後、1年半くらい卵を産み続けます。1羽の鶏が年間320~350個位の卵を生産します。

国内の鶏肉は、大きく分けて3種類あります。最も一般的な鶏肉を生産する鶏は「ブロイラー」と呼ばれており、成長が早く、8週間位で体重が約3kgになります。スーパーなどで「○○鶏」として売られている鶏肉は「銘柄鶏」といい、鶏はブロイラーと同じですが、飼料や飼育方法を工夫した鶏肉のことです。

もう一つは居酒屋などでみかけるようになった「地鶏」ですが、地鶏とはどのような鶏なのでしょうか。

地鶏は、日本農林規格で①在来種(昔から日本で飼育されている鶏38品種)の血液割合が50%以上、②80日以上飼育する、③飼育密度は1m2あたり10羽以下(28日齢以降)、④28日齢以降は平飼いすることが定められています。飼育期間が長く、飼料もブロイラーの2倍くらい必要です。価格も高いため、国内消費に占める割合(羽数)は約1%ですが、名古屋コーチンや比内地鶏など、全国で40以上の地鶏があります。

畜産試験場でも、2006年に北海道産地鶏として「北海地鶏Ⅱ」を開発しました。北海地鶏Ⅱは、名古屋種の雄を父に、大型シャモの雄(祖父)とロードアイランドレッドの雌(祖母)を交配した雌鶏を母に用いた三元雑種(3つの品種を掛け合わせた雑種のこと)の鶏です。地鶏特有の歯ごたえとうま味があり、飲食店などから高い評価を頂いており、消費者の健康志向の高まりなどを受けて、生産拡大が期待されています。

十勝管内新得町では、地域の特産品として北海地鶏Ⅱを「新得地鶏」という地域ブランドとして販売しています。新得地鶏は、120日間、1m2あたり3羽以下とゆったりとした環境の中、敷料にそば殻を、飼料にそばを混ぜるなど、「そばの町新得」の特長を生かした飼育が行われています。また、町内や帯広の飲食店が連携し「新得地鶏フェア」を開催するなど、地域での地鶏の輪が着実に広がっています。2011年には居酒屋チェーンが町内での生産を開始し、東京、横浜に直営店を開店しました。札幌にも11月1日にオープンしています。北海道の大地でのびのび育った北海地鶏Ⅱを是非ご賞味ください。

質問にお答えします

質問

回答

会場からの質問

廃けいのやき鳥おいしいと思いますが、始めから、そのような味をねらった育種はできないものでしょうか?

鶏肉のおいしさはうま味や歯ごたえなどが影響しているといわれています。廃けいは飼育日数が長いため、うま味はありますが堅い鶏肉になってしまいます。地鶏では、特徴であるうま味は向上させつつ、適度な歯ごたえとなるよう研究が進められています。

さらに詳しく知りたい方は・・・

  動画道総研公式チャンネル

  案内チラシ

    

 

ご協力いただきました

ドトールコーヒーショップ北海道庁店