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第33話 道産ブリの食べ頃を探る

中央水産試験場資源管理部資源管理グループ 神山晃汰

ブリは温暖な海域に生息する魚で大きさによって名前が変わる出世魚です。地方によって呼び名は変わり、北海道では小さい方から「フクラギ」「イナダ」「ブリ」と呼ばれます。東日本では年末年始にサケを食べる風習がありますが、西日本では出世を象徴する縁起のいい魚としてブリが食されています。

そんなブリですが北海道では近年漁獲量が増加しており、主に夏から秋にかけて、道南から知床周辺まで広い範囲で漁獲されています(図1、写真)。ブリは脂肪率が値段に影響しており、冬に北陸で漁獲される脂肪率が高いブリは寒ブリと呼ばれ、高い値段で取引されています。道内でも羅臼など脂肪率が一定以上のブリをブランド物として売り出している地域があります。このようにブリの値段は脂肪率が大きく関わっていますが、道内で漁獲されるブリの脂肪率はどのように変化しているのでしょうか。

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    • 北海道におけるブリの漁獲量推移を年単位で示した棒グラフ
                図1 北海道におけるブリの漁獲量推移
    • 道内で水揚げされたブリ
         写真 道内で水揚げされたブリ

近年の漁業現場において魚の脂肪率の計測にはFish Analyzer(フィッシュアナライザー)という機器が使われています。これは電流を流した時の抵抗から脂肪率を測るもので、我々人間の体脂肪率を測る機器を応用したものです。ブリの場合は背中の筋肉で脂肪率を測定します。背中で測定する理由としては、側線(そくせん:体の左右にある点列や細い線)では血合筋が多く体の筋肉の中でも脂質構成が異なること、腹部では背中より脂肪率が高くなりやすいことからそれぞれ計測結果がぶれやすいためです。このFish Analyzerを使い、道内で漁獲されているブリの脂肪率を時期や大きさごとに計測しました。

ブリの体重階級ごとの脂肪率を表したグラフ
図2 体重階級ごとの脂肪率

 図2にブリの体重別(0~12 kg)の脂肪率を季節別(夏:7~9月、秋:10~11月)で示しました。3 kg台までの脂肪率は体重による変化はありませんが、4 kg以上になると季節にかかわらず体重とともに高くなることが分かりました。また、季節別にみると夏に漁獲されたブリは脂肪率が低い一方で秋に漁獲されたブリは脂肪率が高い傾向があります。この要因として、北海道で漁獲されるブリは夏に南から餌を求めて北上していることから、餌をたくさん食べることで秋に脂肪率が高くなるためだと考えられます。

 これまでの研究から北海道のブリは魚体サイズや季節によって脂肪率が変化することが分かってきました。北海道ではブリの漁獲が増加している一方、札幌市の一世帯あたり購入数量は都道府県庁所在地および政令指定都市のうち51番目と消費量が低い傾向にあります(総務省統計局家計調査より)。大型のブリは脂肪率が高いため、高値で取引されていますが、漁獲の多くを占める小型のブリは脂肪率が低いため鮮魚としての利用が少ない傾向にあります。そこで、道内での消費量を増やすため、各地で商品開発が進められています。例えば道総研では小型のブリの脂肪率が低い特徴を生かしたブリ節の開発を進め、民間企業と協力して商品化されました。さらにはブリ節の出汁を使った函館ブリ塩ラーメンなど様々な加工品が生み出されています。道産ブリを使った商品を見かけた際はぜひ食べてみてください。

 なお、今回紹介した内容の詳細は以下に掲載されています。

北海道沿岸で漁獲されるブリの脂肪率:季節、海域およびサイズによる変動
北水試だより第111号 1~4ページ
https://www.hro.or.jp/fisheries/publication/dayori.html

道産ブリ荒節の出汁素材としての活用について
北水試だより第107号 20~22ページ
https://www.hro.or.jp/fisheries/publication/dayori/hokusuidayori101-110.html#s7 

「たべLABO Mini ブリ節」
https://www.hro.or.jp/upload/51843/tabeLABO_buribushi.pdf 

Fish Analyzer(フィッシュアナライザー)は、大和製衡株式会社の登録商標です。

[2026年4月21日 公開]

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