第43回 花
北海道産の花をもっと楽しみましょう ~美しい花を長持ちさせるコツ~
2014年7月18日
農業研究本部 花・野菜技術センター 鈴木 亮子
こんなお話をしました
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道内の切り花生産は道央と道南に多く、深川市・七飯町・岩見沢市などが大きな産地です。出荷は7~9月に集中し、この時期は地場産の割合が高まりますが、生産量の7割以上は道外に向けて出荷され、盆や彼岸の大きな需要に応えています。
道外でのシェアが特に高い花は、お供えとして使われるスターチスと、暑さに弱く青色が涼しげなデルフィニウムです。
切り花の購入金額は年々減り続けており、特に若い人はあまり花を買わないようです。切り花をもっと楽しんでもらうためには、消費者ニーズに合った切り花を供給する必要があります。アンケート結果からは「花持ち」に対するニーズが強く、1週間花持ちすれば7割の人は満足することが明らかになりました。これらを踏まえ、花・野菜技術センターでは、全国の研究機関と協力して花持ち保証を可能とする技術開発に取り組んでいます。
切り花は主に①老化、②水あげ不良、③栄養不足によって観賞価値を失います。老化にはエチレンという植物ホルモンが関与しており、エチレンによって花がしおれたり、花びらが落ちたりします。水あげ不良には、水が吸い上げる量より多く失われて水分が不足する場合と、茎が詰まって水が吸えなくなる場合があります。茎の詰まりは細菌や気泡などによって起こります。栄養不足は、花が収穫されることでエネルギー源が断たれて起こり、 花が開かなくなったり、色があせたりします。
老化を防ぐには、エチレン阻害剤(STS)を使います。これは収穫後すぐに吸わせる必要があるので、生産者が行っています。水あげを改善するには、界面活性剤で水を吸いやすくする他、細菌による茎の詰まりを防ぐために抗菌剤を吸わせます。また、輸送中のストレスをなくすため、水に生けたまま輸送する方法も普及しています。栄養は生け水に糖を溶かして、花に吸わせます。糖の効果で花は大きく開き、蕾も咲き、花の色も良くなります。糖の補給は収穫から観賞終わりまで必要なので、消費者の手に渡ってからも継続することが重要です。
家庭で切り花を観賞する際は、界面活性剤・抗菌剤・糖が含まれる市販の切り花栄養剤の利用をおすすめします。水替え不要で手間も省けますし、特に夏場は効果が顕著に現れます。
さらに詳しく知りたい方は・・・
- 動画(道総研公式チャンネル)
- 参考図書
「切り花の品質保持」市村一雄著、 筑波書房(2011年)参考HP:農研機構花き研究所編(2014年) - 案内ちらし
案内ちらし.pdf