北海道 地質由来有害物質情報システム GRIP

H23-25 重点研究 報告書「北海道内における自然由来有害物質の分布状況」

GRIPの考え方

リスクパターンの取扱い

「有害物質の濃集拡散過程」でも述べたとおり,地質体の生成過程と溶出量/含有量には緩やかながら相関が認められている.そこで北海道内に分布する代表的な地質体をモデルとして,形成過程と溶出/含有リスクを44のパターンに区分した(表2;巻末資料).なお,リスクパターンは,高リスクなケースだけではなく,低リスクなケースも含まれている.このリスクパターンを,試験が未実施の地質体も含めて,北海道内の各地質体(約9,000体:GRIP[Bed]登録済)に割り当てた.これにより,情報を必要とする地区に分布する地質体を指定すれば,その地質体のリスク情報が得られることになる.

この考え方に基づいて,「GRIP」ではリスク情報を次のように整理した.北海道内の5万分の1地形図を64グリッド(8行×8列)に分割し,各グリッド内に分布する地質体をリストアップした.各々の地質体についてリスクパターンを割り当てて,これを「GRIP」内のデータベースに整理・格納した.

Web公開された「GRIP」では,まず利用者が情報を必要とする地点を指定する.システムはこの地点を含むグリッドを抽出し,このグリッドに登録されている地質体とそのリスクパターンを提示することで,利用者に対して指定地点周辺に分布する地質体のリスク情報を提供する.

現時点においては,リスクパターンの根拠となるデータ数が限られている地質体もあり,リスク情報の確度が低い部分もある.しかしながら,前述したように,「GRIP」は5工程のサイクルのうち「蓄積」「解析」「公開」を継続的に実施することを目指したシステムである.この作業により,工事現場からの試験値の収集蓄積を進め,リスクパターンに割り当てたリスク情報の更新を行っていく.加えて現時点では見出せていない新規リスクパターンが明らかになった場合には,それを追加登録していくことが可能である.