研究開発成果17/新材料の開発と利用・道内資源の有効利用
研究開発成果17/新材料の開発と利用・道内資源の有効利用
ふ化促進物質吸着に優れたトマト栽培用培地の開発
Development of Tomato Cultural Ceramics Adsorbing and Releasing Potato Cyst Nematodes-Hatching Agents
材料技術部 | 執行 達弘・吉田 憲司・野村 隆文・赤澤 敏之 |
ものづくり支援センター | 板橋 孝至 |
■研究の背景
北海道の主要農産物であるジャガイモの生産現場において、著しく収量を減少させるジャガイモシストセンチュウの発生は重大な問題であり、 その解決が喫緊の課題となっています。(独)農研機構北海道農業研究センターを代表とする研究グループは、 先行する研究によりトマトの水耕及び礫耕栽培において生じる廃液にふ化促進物質が大量に含まれることを明らかにし、 それを輪作期間中に汚染圃場に散布することで標的線虫を強制的にふ化・餓死させるという低コスト・低環境負荷となる新しい防除技術を見出しました。 しかしトマト栽培廃液のみの利用の場合、実験室規模では十分な効果を発揮しましたが、圃場での実証試験では効果が低減しました。 降雨による流亡などが原因と考えられ、これに対して担体の活用・開発への要望が寄せられました。
■研究の要点
- ふ化促進物質の高レベルな吸着徐放機能を有する担体(トマト栽培用培地)の開発
- 材料における、ふ化率の向上に寄与する因子の解明

■研究の成果
- 北海道で産出される天然無機資源「十勝ゼオライト」と「稚内層珪質頁岩」から成り、 圃場での実証試験でも十分な効果を発揮する実用レベルの担体を開発しました(特願2011-15981)。
- 農業分野での成果と合わせて「担体の量産→トマト栽培→ふ化促進物質吸着担体の回収・汚染圃場への散布」 というジャガイモシストセンチュウ防除システムの一連の流れを構築しました。
(独)農研機構北海道農業研究センター・雪印種苗(株)・北海道農材工業(株)・(株)共成レンテム
※本研究は、農林水産省農林水産技術会議の「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」により実施したものです