支笏湖

Lake Shikotsu

所在地 (Location) 千歳市 (Chitose City)
成因 (Origin) カルデラ湖 (caldera lake)
湖面標高 (Elevation) 248 m
湖面積 (Surface area) 78.48 km2
最大水深 (Max. depth) 360.1 m
容積 (Volume) 20900000 ×103 m3
集水域面積 (Watershed area) 222.20 km2

湖の北側から南方向を撮影。写真右側には恵庭岳、写真奥には風不死岳と樽前山が見える。(2023年9月21日撮影)

支笏湖(シコツコ)は、千歳市西端にあって、支笏カルデラ形成後噴出した北側の恵庭(エニワ)岳と南側の不風死(フップシ)岳および樽前(タルマエ)山の火山噴出により形成された、マユ形のカルデラ湖である。

「シコツ」の語源は、元来石狩川支流の千歳川の名で、今の千歳市街地もシコツと呼ばれていた。千歳川が大きな谷のように流れていたことから、「シ・コツ(大・窪地) 」と呼ばれたと言われている。その「シコツ」の上流にある湖なので、シュツ・トー(シコツの・湖)と呼ばれたと言われている。ちなみに、「千歳」の由来は、「シコツ」は「死骨」に通じ、縁起が悪いとして、現在の千歳市付近は、鶴がよく来ていたことから、「千歳」と名付けられたと言われている。

支笏湖は、湖面標高248 m、最大水深 360.1 m、湖面積78.48 km2、集水域面積222.20 km2の淡水湖である。

湖の容積は道内最大であり、全国でも田沢湖に次いで第2位である。

支笏湖は、特に最大水深が深いだけで無く、平均水深も深い。支笏湖は湖岸から急激に深くなり、底部は広く平らに近い形状をしているためである。

主な流入河川は、美笛川とオコタンペ川などであり、流出水は東側から千歳川となって流出する。

集水域の土地利用は、ほとんどが山地などの自然地であり、保全されている。支笏湖は、北海道の玄関である新千歳空港や、札幌市に近く、年間多くの観光客が訪れる。また、支笏湖のヒメマスは有名であり、チップと称されている。

支笏湖は、類型指定湖沼であり、環境基準は、湖沼の AA およびⅠ類型(リンのみ)が指定されている。

支笏湖の栄養塩濃度のレベルは低く、貧栄養湖の濃度レベルである。CODとTPに環境基準が定められており、基準値は、CODは1 mg/L以下、TP は0.005 mg/L以下であり、両者ともに達成されている。なお、温泉街には、1983年から公共下水道が整備されている。

2023年10月の水質鉛直プロファイルでは、水深15〜20 m付近に水温躍層があり、躍層直下で溶存酸素が過飽和となっていた。水温躍層の下部に植物プランクトンが多い層があり、光合成が活発だったものと思われる。

経年的な水質の傾向としても、大きな変化はみられておらず、貧栄養湖の環境を維持した状態である。透明度は10~30 mと幅広い変動こそ示すが、深くまでよく見える。 また、季節的な変動として、秋にChl-a濃度が上昇し、透明度が低下するといった現象が見られる [1]

水質データ(表層)
調査日 地点 全水深
[m]
透明度
[m]
pH Cl-
[mg/L]
アルカリ度
[meq/L]
DO
[mg/L]
COD
[mg/L]
TOC
[mg/L]
TN
[mg/L]
TP
[mg/L]
Chl-a
[μg/L]
1979-09-27 St-1 18.0 7.5 9.8 0.22
1985-07-08 St-1 17.0 7.4 17.0 9.4 0.8 <0.05 0.005 0.11
1991-07-29 St-1 17.5 7.5 15.6 8.4 1.0 0.07 <0.003
2023-10-11 最深部 359.7 9.1 7.5 15.2 0.730 8.9 0.8 0.07 0.003 0.60
調査地点図
集水域の土地利用
栄養度の推移(表層)
水質鉛直プロファイル
水質の経年変化

[1] 今田和史, 2000, 支笏湖の水質環境と漁業の変遷, 国立環境研究所研究報告 NO.153, 湖沼環境の変遷と保全に向けた展望, p.70-82