支笏・洞爺の湖沼

石狩振興局と胆振総合振興局にまたがるこのエリアには、支笏湖や洞爺湖などの大型のカルデラ湖をはじめ、火山活動に伴ってできた湖沼がいくつもある。水深は全体的に大きく、最大水深は、支笏湖で約360 m(道内1位)、洞爺湖で約180 m(道内3位)、倶多楽湖で148 m(道内4位)と上位を占める。また、透明度も全体的に高い。山地にあり、支笏洞爺国立公園に含まれ、流域からの人為的な負荷が少ないためか、ほとんどの湖沼が貧栄養レベルにある。このため、植物プランクトン量の指標であるChl-a濃度も全体的に低く、高い透明度の一因になっていると考えられる。

エリアの湖沼の水質

エリアの地形・気象など

日本海側の積丹半島から太平洋側の地球岬まで帯状に広がる一帯は支笏・洞爺火山群と呼ばれ、その南部にあたるこのエリアには、昭和新山、有珠山、樽前山など今もなお噴火活動を繰り返す活火山も多い[1]。支笏湖や洞爺湖、倶多楽湖は大規模な火山活動によってできた凹地に水が貯まってできたカルデラ湖であり、このエリア一帯には、カルデラ形成時に噴出した火砕流堆積物が広く分布している[1]。支笏湖や洞爺湖の湖底は海水面より低く、噴出の大きさを物語っている。倶多楽湖の西には登別温泉やカルルス温泉があり、その周辺に、火山湖である橘湖と大湯沼がある。一方、支笏湖の北側に広がる余市山地の標高600~1000 mほどのところに真簾沼や万計沼など、比較的小さな湖沼が点在している。これらの湖沼のほとんどは成因がよく分かっていないが、オコタンペ湖は恵庭岳噴出物によって川が堰き止められてできた堰止湖と考えられている。

このエリアは範囲が広く、エリア内でも気象は大きく異なっている。洞爺湖に近い伊達は北海道の中でも年間を通して温暖で、年平均気温(平年値)は8.9℃である[2]。これに比べて、内陸の大滝や支笏湖畔の年平均気温は、それぞれ5.6℃、6.9℃と低い[2]。降水量も地点によって大きく異なっており、伊達は年間を通して少ない(年降水量:769.3 mm[2])のに対し、登別は夏を中心に降水量が多い特徴がある(年降水量:1811.2 mm[2])。登別を含むオロフレ地域では、海上からの暖かく湿った空気が山にぶつかって雨雲ができやすく、北海道有数の降水量が多い地域となっている[3]。最大積雪深は大滝で100 cm程度、登別で60 cm程度である[2]

エリアマップ
エリアの気象

湖沼の紹介

水質データ更新・UAV撮影画像
UAV撮影画像

[1] 小疇尚・福田正己・石城謙吉・酒井昭・佐久間敏雄・菊地勝弘[編集], 1994, シリーズ 日本の自然 地域編 1 北海道, 岩波書店, 東京, 192p.

[2] 気象庁, 過去の気象データ. URL: https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php(2025年3月26日時点)

[3] 室蘭地方気象台, 胆振・日高地方の気象の特徴. URL: https://www.data.jma.go.jp/muroran/shosai/tokuchou.html(2025年3月21日時点)