モケウニ沼

Lake Mokeuni

所在地 (Location) 猿払村 (Sarufutsu Village)
成因 (Origin) 海跡湖 (lagoon lake)
湖面標高 (Elevation) 5 m
湖面積 (Surface area) 0.49 km2
最大水深 (Max. depth) 4.0 m
容積 (Volume) 1470 ×103 m3
集水域面積 (Watershed area) 6.32 km2

沼の南東から北西方向を撮影。中央がモケウニ沼(左手前はモケウニ上の沼(第1沼)、右奥はモケウニ小沼)。沼の周囲は湿原に囲まれている。(2023年6月21日撮影)

モケウニ沼は、猿払村の南端、オホーツク海から2 km程内陸に位置する海跡湖である。「モケウニ」とは、アイヌ語で「静かな沼のある所」の意味である。

モケウニ沼は湖面標高5 m、湖面積0.49 km2、最大水深4.0 mの小さな淡水湖である。

モケウニ沼は二級河川猿払川水系のモケウニ川源流部にあり、沼とその周囲の湿原を標高10~20 m程度の台地が取り囲んでいる。モケウニ沼の南方と東方にモケウニ沼より小さい沼(それぞれ第一沼と小沼)があり、モケウニ沼と水路でつながっている。流出河川は北方のモケウニ川でエサヌカ川を経由して猿払川へと下る。モケウニ沼、小沼、第一沼から成る湖沼群とその周辺の湿原はモケウニ沼湿原と呼ばれている [1]

集水域の土地利用は農用地が全体の約53%を占める。沼と湿原を取り囲む台地上は牧草地となっている [2]。農用地に次いで荒地が約22%で、沼周囲の湿原植生である [2]。約10%を占める森林は沼の南西側の湿原に隣接するアカエゾマツ群集(湿原型)である [2]

湖水は褐色を呈しており、COD濃度は15~23 mg/Lと比較的高いことから、腐植物質の影響を受けていると考えられる。2023年6月の調査時のTNとTP濃度はそれぞれ0.76と0.044 mg/Lで富栄養レベルにあった。栄養度は1980・90年代から明確な変化は見られていない。Chl-a濃度は過去に88 μg/Lの高い値を示すことがあったが、2023年6月の調査時は25 μg/Lであった。植物プランクトンの現存量が比較的大きいこともあり、透明度は高い時で1.0 mである。

2023年6月の水質鉛直プロファイルでは、水温、溶存酸素、電気伝導度とも鉛直方向に概ね一様であった。

モケウニ沼、小沼、第一沼を含むモケウニ沼湿原は北オホーツク道立自然公園に指定されている [1]。また、モケウニ沼の南側には台地から湿原を抜けて沼に至る片道約350 mの探勝道があるが、2023年調査時には立ち入り禁止となっていた。

水質データ(表層)
調査日 地点 全水深
[m]
透明度
[m]
pH Cl-
[mg/L]
アルカリ度
[meq/L]
DO
[mg/L]
COD
[mg/L]
TOC
[mg/L]
TN
[mg/L]
TP
[mg/L]
Chl-a
[μg/L]
1979-08-02 St-1 1.0 8.0 6.4 16
1983-09-28 St-1 2.2 0.5 7.4 20.7 8.2 23.0 0.84 0.043 41
1985-08-21 St-1 0.4 8.4 23.5 7.4 37
1991-07-17 St-1 0.9 7.8 22.8 0.429 8.6 17.6 0.87 0.040 38
1994-10-20 St-1 2.6 0.5 6.5 22.0 0.348 9.5 28.0 9.6 0.74 0.074 88
1999-07-07 St-1 2.1 1.0 9.0 21.0 0.457 12.0 15.0 9.9 1.00 0.122 9.7
2023-06-21 St-1 2.1 0.9 8.5 19.7 0.456 8.3 17.0 0.76 0.044 25
調査地点図
集水域の土地利用
栄養度の推移(表層)
水質鉛直プロファイル

[1] 北海道環境生活部自然環境局自然環境課,2023.道内の湿原概要.URL: https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/environ/wetland/nozoku.html(2024年10月9日時点)

[2] 環境省生物多様性センター.自然環境調査Web-GIS(第6-7回自然環境保全基礎調査,1/25,000植生図).URL: http://gis.biodic.go.jp/webgis/(2024年10月9日時点)