姫沼

Lake Himenuma

所在地 (Location) 利尻富士町 (Rishirifuji Town)
成因 (Origin) その他 (others)
湖面標高 (Elevation) 123.6 m
湖面積 (Surface area) 0.03 km2
最大水深 (Max. depth) 3.0 m
容積 (Volume) 60 ×103 m3
集水域面積 (Watershed area) 0.24 km2

沼の北東から南西方向を撮影。沼の周囲には遊歩道が整備されている。中央の山は利尻山。写真右端には鴛泊(おしどまり)港が見える。(2023年5月23日撮影)

姫沼(ヒメヌマ)は、利尻島の北部、鴛泊(オシドマリ)の海岸近くに位置している。

この沼は、大正時代に内水面漁業振興と発電用貯水池として、いくつかの小沼と湧水の流れをせき止めてつくった人造湖である[1]

姫沼の語源は、1918年(大正7年)、千歳のふ化場から和名を姫鱒と云うガバチェッポの卵を購入し、稚魚を放流したことから、この名をとって姫沼と名づけた。

沼は、湖面標高123.6 m、最大水深3.0 m、面積0.03 km2で、浅い小さな淡水湖である。

沼の周囲は、湿地で流入河川は特になく、流出水は無名の河川を経て湾に注いでいる。

集水域の土地利用状況は、すべて山林である。

沼からポン山ハイキングコースがあり、原生林の中の遊歩道からは、マイヅルソウ、オオバナノエンレイソウ、ヒトリシズカなどの高山植物を多数見ることができる。周辺にはトドマツ、アカエゾマツなどの針葉樹とカシワ、ニレなどの広葉樹がまじりあった美しい林がとりまいている[1]。姫沼の水面にうつる利尻富士の姿はとりわけ美しく「姫沼のさかさ富士」として島内観光の名所となっている[1]

2023年5月の水質は、Chl-aが8.4 μg/Lで過去のデータに比べて低い値だったが、これは調査時期が春だったためで、夏季になって水温が上昇すると植物プランクトンが増加していくものと考えられる。

TNは中栄養湖レベル、TPは富栄養湖レベルだった。

水質データ(表層)
調査日 地点 全水深
[m]
透明度
[m]
pH Cl-
[mg/L]
アルカリ度
[meq/L]
DO
[mg/L]
COD
[mg/L]
TOC
[mg/L]
TN
[mg/L]
TP
[mg/L]
Chl-a
[μg/L]
1979-08-14 St-1 0.3 8.9 9.8 2.9 48
1983-07-27 St-1 2.3 0.4 9.5 14.9 9.5 2.1 0.150 180
1985-08-29 St-1 1.2 9.3 9.5 60
1991-05-29 St-1 2.2 2.0 7.8 13.2 0.340 10.6 3.0 0.6 0.32 0.039 12
1996-06-18 St-1 2.0 1.2 8.6 13.2 0.331 11 4.0 1.2 0.49 0.11 7.6
2023-05-23 湖心 1.9 1.5 6.8 10.1 0.338 9.9 4.0 0.23 0.074 8.4
調査地点図
集水域の土地利用
栄養度の推移(表層)

[1] 矢島睿, 1987. さいはての島の小沼 姫沼・オタドマリ沼・久種湖. 日本の湖沼と渓谷1 北海道Ⅰ 摩周・サロマ湖と日高の渓谷, 今西錦司・井上靖[監修]:156–161. ぎょうせい, 東京.