能取湖

Lake Notoro

所在地 (Location) 網走市 (Abashiri City)
成因 (Origin) 海跡湖 (lagoon lake)
湖面標高 (Elevation) 0 m
湖面積 (Surface area) 58.18 km2
最大水深 (Max. depth) 23.1 m
容積 (Volume) 500000 ×103 m3
集水域面積 (Watershed area) 206.06 km2

湖の北部の湖口上空から南西方向を撮影。写真の下部は能取漁港。1974年に永久湖口が作られた。写真中央で湖内に均等に並ぶ構造物は、冬季に流氷の侵入を防ぐためのアイスブーム (ice boom)。(2023年9月4日撮影)

能取湖(ノトロコ)は、網走市市街地の北西部、能取岬の西側のオホーツク海沿岸に位置している。

この湖は、北見山地の末端丘陵地にあって、北部のオホーツク海岸は砂州によって閉ざされた海跡湖である。

かつて、湖出口の北岸砂州は、強い北風によって、しばしば閉鎖したが、 1974年に北東岸に永久湖口が完成した。

「ノトロ」は、アイヌ語で「ノッ・オロ(岬・の処) 」の意である。

能取湖は、湖面標高0 m、最大水深23.1 m、湖面積58.18 km2の汽水湖である。

主な流入河川は、卯原内川、ポンコナイ川、ソオラルオツナイ川などである。

集水域の土地利用は、森林が約40%を占めるほか、農用地も約26%ある。

湖岸には、サンゴ草(アッケシソウ)の群落がみられる。9月くらいになると、そのサンゴ草が湖畔を真っ赤に染める。

1974年に、能取湖口を永久湖口化したことによって、湖内の水質環境および漁場環境は一変し、 外海水の流入とともに、魚群が湖内にも入り込み、漁獲量が急伸した。塩分濃度は、1970年代後半に急激に上昇し、現在ではほぼ海水に類似した塩分環境となっている。湖内では主にホタテ、サケマス、ホッカイエビやカレイ等が漁獲される。

2023年9月の水質は、TNは貧栄養湖レベル、TPは中栄養湖レベルだった。能取湖の湖岸を中心に、酪農や畑作などの農業地が広がっており、そこからの栄養塩類の面源負荷が懸念されるが、湖内の富栄養化はあまり進行していないと思われる。海水との水の交換が良いことなどが、理由の一つに挙げられる。

2023年9月の水質鉛直プロファイルは水深16〜17 m付近に弱い水温躍層があり、水温躍層以深で溶存酸素の低下が見られた。湖底部は無酸素となっていた。塩分は全層で約33 psuあり、均一だった。

水質データ(表層)
調査日 地点 全水深
[m]
透明度
[m]
pH Cl-
[mg/L]
アルカリ度
[meq/L]
DO
[mg/L]
COD
[mg/L]
TOC
[mg/L]
TN
[mg/L]
TP
[mg/L]
Chl-a
[μg/L]
1979-07-11 St-2 5.5 8.2 7.6 1.6 0.24
1985-08-06 St-2 6.0 8.1 18300 8.0 1.6 0.05 0.006
1991-08-21 St-2 14.2 5.0 8.6 2.09 9.2 1.4 1.1 0.20 0.010 8.6
2023-09-05 最深部 20.8 9.2 8.3 18700 2.08 7.2 2.0 0.11 0.023 1.7
調査地点図
集水域の土地利用
栄養度の推移(表層)
水質鉛直プロファイル
水質の経年変化