濤沸湖
Lake Tofutsu
所在地 (Location) | 小清水町・網走市 (Koshimizu Town / Abashiri City) |
成因 (Origin) | 海跡湖 (lagoon lake) |
湖面標高 (Elevation) | 1 m |
湖面積 (Surface area) | 8.19 km2 |
最大水深 (Max. depth) | 2.4 m |
容積 (Volume) | 9960 ×103 m3 |
集水域面積 (Watershed area) | 188.42 km2 |

濤沸湖とオホーツク海の間の砂丘は小清水原生花園で多くの観光客が訪れる。写真右の建物は、小清水原生花園院フォーメーションセンターHANAとJR釧網線の原生花園駅。(2023年7月5日撮影)
濤沸湖(トウフツコ)は、小清水町と網走市との境界のオホーツク海岸に位置している。東南東から西北西に細長い形状をしており、西北西側に海に通じる水路がある。濤沸湖のオホーツク海側すなわち北北東側は、幅300 m高さ15 mの砂州によってせき止められ、原生花園となっている。
濤沸湖は、アイヌ語では「鳥がいつもいる湖」という意味である 「チカンプトウ」 と言われている。「濤沸」の名は、アイヌ時代の慣例で濤沸湖のことをただ「トー」と呼ばれていたようであるが、和人が湖口の意である「トープッ」という地名をとったことによる。
濤沸湖は内水面漁業の場として利用されており、ワカサギとスジエビが特産品として知られている。また、「チカンプトウ」の名の通り、白鳥などの飛来地としても有名であり、西北西側の湖口付近に、白鳥公園があり、多くの人々が訪れる。また、濤沸湖の北北東側には、国道を挟んで、小清水原生花園があり、そこの高台からは、オホーツク海と濤沸湖の双方を眺望できる。
濤沸湖は、湖面標高1 m、最大水深2.4 m、湖面積8.19 km2、集水域面積188.42 km2の細長くて浅い汽水湖である。
流入河川は、南方から、浦士別(ウラシベツ)川、オンネナイ川、丸万川などが流入する。
集水域の土地利用は、森林が約46%を占めるほか、酪農や畑作などの農用地が約43%を占めている。
濤沸湖は細長く、湖口側とその反対側では、水質が大きく異なることが知られている。湖口付近を除いて、COD濃度が高い傾向があり、湖水は微褐色を呈しており、腐植物質の影響を受けていると思われる。1986年と1987年には、詳細な調査が行われた。その調査データを見ると、夏や秋にChl-a濃度の上昇する時があった。水平的には、湖口付近では、塩分濃度が高く、海水に近いレベルであった。徐々に奥にいくに従って、塩分濃度は低下し、最奥部(東部)では、塩化物イオン濃度は淡水のレベルであった。栄養塩類濃度は、最奥部で高く、湖口に向かって低下している傾向が見られた。
2023年7月には湖心であるSt-2に到達できなかったため、St-2の北およそ400 mの位置で採水した。このとき、TN、TPとも富栄養湖のレベルだった。湖心部では長期的に富栄養湖から過富栄養湖のレベルを推移しており、長期的な悪化傾向は認められない。
2023年7月の水質鉛直プロファイルは、塩分が湖底部で高く、表層部では低下しており、湖内への海水の侵入と流域からの河川水の流入が反映されていた。
調査日 | 地点 | 全水深 [m] |
透明度 [m] |
pH | Cl- [mg/L] |
アルカリ度 [meq/L] |
DO [mg/L] |
COD [mg/L] |
TOC [mg/L] |
TN [mg/L] |
TP [mg/L] |
Chl-a [μg/L] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1979-07-10 | St-2 | 1.3 | >1.3 | 8.8 | 6.0 | 7.8 | 4.3 | |||||
1982-09-01 | St-2 | 1.5 | >1.5 | 8.1 | 6870 | 7.4 | 10.0 | 0.46 | 0.062 | 12 | ||
1985-09-25 | St-2 | 1.5 | >1.5 | 9.3 | 280 | 12.2 | 16 | |||||
1986-06-16 | St-2 | 1.5 | >1.5 | 8.4 | 3250 | 9.5 | 7.4 | 0.70 | 0.061 | 3.8 | ||
1986-07-02 | St-2 | 1.0 | >1.0 | 8.9 | 4450 | 9.5 | 8.6 | 0.55 | 0.046 | 9.5 | ||
1986-09-24 | St-2 | 1.2 | >1.2 | 8.9 | 4500 | 9.7 | 8.5 | 0.31 | 0.041 | 12 | ||
1986-11-05 | St-2 | 1.0 | 0.6 | 8.2 | 4750 | 10.2 | 8.3 | 0.60 | 0.048 | 3.6 | ||
1987-06-09 | St-2 | 0.7 | >0.7 | 8.3 | 4100 | 9.3 | 8.2 | 0.40 | 0.035 | 4.2 | ||
1987-07-22 | St-2 | 1.2 | >1.2 | 9.4 | 5960 | 10.7 | 8.2 | 0.75 | 0.040 | 16 | ||
1987-09-29 | St-2 | 1.5 | >1.5 | 9.4 | 6560 | 11.5 | 8.5 | 0.76 | 0.025 | 4.2 | ||
1987-11-17 | St-2 | 1.2 | 1.0 | 7.3 | 4560 | 11.8 | 15.0 | 1.20 | 0.134 | 43 | ||
1991-07-17 | St-2 | 0.8 | >0.8 | 8.7 | 15.9 | 0.62 | 0.470 | 15 | ||||
1993-07-22 | St-2 | 1.3 | 1.0 | 8.4 | 4660 | 10.7 | 1.15 | 0.048 | 7.1 | |||
1998-08-05 | St-2 | 1.0 | 0.9 | 9.6 | 5010 | 1.40 | 11.0 | 10.0 | 11.6 | 1.40 | 0.123 | 22 |
2023-07-06 | St-2北 | 0.9 | >0.9 | 8.5 | 9880 | 1.58 | 10.2 | 8.8 | 0.61 | 0.056 | 8.3 |