藻散布沼

Lake Mochirippu

所在地 (Location) 浜中町 (Hamanaka Town)
成因 (Origin) 海跡湖 (lagoon lake)
湖面標高 (Elevation) 0.0 m
湖面積 (Surface area) 0.62 km2
最大水深 (Max. depth) 2.0 m
容積 (Volume) 310 ×103 m3
集水域面積 (Watershed area) 15.12 km2

藻散布沼(モチリップヌマ)は、浜中町南部の太平洋に面した、厚岸霧多布昆布森国定公園内にあり、火散布沼の南約2 km程の所に位置している。標高30~80 mの海岸段丘で囲まれ、東端が砂浜堤で塞がれた海跡湖である。

「散布」の語源は、「チウルプ(chiurupu アサリ貝)」から来た名だというが、はっきりしていない。

藻散布沼は、湖面標高0.0 m、最大水深2.0 m、湖面積0.62 km2、集水域面積15.12 km2の汽水湖である。

流入河川は藻散布川などで、流出水は湖の南東端から水路を経て太平洋に注いでいる。

集水域の土地利用状況は、ほとんどが山林と湿原などの自然地である。

St-2における表層水の水質データを表に示した。浅い湖であるため、透明度は全透(底まで見えている状態)になることが多い。塩化物イオン濃度は海水に近い濃度レベルであった。2017年の調査では、TN濃度は貧栄養~富栄養レベル、TP濃度は中栄養~富栄養レベルであった。Chl-a濃度は1991年8月に12 µg/Lを記録しているが、2017年には0.3~2 μg/L程度と比較的低い値で推移していた。

水質データ(表層)
調査日 地点 全水深
[m]
透明度
[m]
pH Cl-
[mg/L]
アルカリ度
[meq/L]
DO
[mg/L]
COD
[mg/L]
TOC
[mg/L]
TN
[mg/L]
TP
[mg/L]
Chl-a
[μg/L]
1979-07-18 St-2 1.3 >1.3 8.0 10.2 0.60
1982-09-07 St-2 0.5 >0.5 8.2 18000 7.0 4.1 0.22 0.026 0.90
1985-09-18 St-2 1.0 >1.0 8.1 17000 9.0 0.50
1991-08-28 St-2 0.8 >0.8 8.2 18800 2.08 9.1 2.8 0.41 0.020 12
2017-04-19 [1][2] St-2 1.6 0.8 8.0 10.6 0.40 0.041 1.1
2017-04-25 [1][2] St-2 1.1 >1.1 8.1 13.5 0.13 0.016 2.4
2017-05-10 [1][2] St-2 1.3 >1.3 12.5 0.13 0.017 0.46
2017-05-18 [1][2] St-2 1.2 >1.2 7.9 9.6 0.18 0.025 0.26
2017-05-30 [1][2] St-2 1.2 >1.2 8.0 8.9 0.16 0.025 0.29
2017-06-08 [1][2] St-2 1.3 >1.3 8.1 10.1 0.14 0.026 0.76
2017-06-19 [1][2] St-2 0.8 >0.8 7.9 8.2 0.32 0.042 2.3
2017-06-28 [1][2] St-2 1.3 >1.3 8.1 9.0 0.16 0.027 0.37
2017-08-30 [1][2] St-2 1.1 >1.1 8.0 8.1 0.19 0.038 0.55
2017-11-29 [1][2] St-2 1.3 >1.3 8.5 10.1 0.22 0.036 1.5
調査地点図
栄養度の推移(表層)

[1] 鈴木啓明・木塚俊和・真野修一・卜部浩一, 2018, 北海道太平洋側の汽水域で一次生産が大きい条件は何か, 日本陸水学会第83回大会講演要旨集, P-10, 2018年10月7日, 岡山大学.

[2] 環境科学研究センター, さけます・内水面水産試験場, 地質研究所, 平成29年度~令和2年度, 道東サケの漁獲回復を実現する「天然潟湖」を活用した新たなサケ放流体系の確立(北海道立総合研究機構 重点研究)

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