ペンケトー

Lake Penketo

所在地 (Location) 釧路市(阿寒地区) (Kushiro City)
成因 (Origin) 堰止湖 (dammed lake)
湖面標高 (Elevation) 506 m
湖面積 (Surface area) 0.30 km2
最大水深 (Max. depth) 39.4 m
容積 (Volume) 6000 ×103 m3
集水域面積 (Watershed area) 10.43 km2

湖の北部から南方向を撮影。この写真では見えないが、写真の中央奥の山に国道241号線の展望台(双湖台)がある。集水域はすべて天然林である。阿寒湖・パンケトー・ペンケトーは、雄阿寒岳を取り囲む三連湖で、雄阿寒岳ができる前はひとつの湖、古阿寒湖だった。流出河川はパンケトーに注ぐ。(2023年8月22日撮影)

ペンケトーは、パンケトーと同様に釧路市北部の阿寒カルデラ内にあって、雄阿寒岳の東山麓に位置する。パンケトーと同様に、およそ15万年前に阿寒カルデラに湛えられていた湖(古阿寒湖)が、その後の雄阿寒岳の噴出物により分断されてできた堰止湖である [1]。「ペンケ」とは、「上流側の」という意であり、パンケトーと対比されて上流側の湖という意味と思われる。

ペンケトーは湖面標高506 mと阿寒湖やパンケトーより高い位置にある淡水湖である。湖面積は0.30 km2と阿寒湖の40分の1以下と小規模ながら、最大水深は39.4 mと深い。

主な流入河川は双湖台川と双岳台川であり、流出水は湖北端のカミイベシベツ川を経てパンケトーに注ぐ。

集水域の土地利用は、森林が全体の約94%を占め、その大部分はエゾマツやトドマツなどの亜高山帯針葉樹林から成る自然植生である [2]

2023年8月調査時の透明度は6.0 mであり、1998年10月の5.8 mと大きく変わらなかった。1991年6月には11.3 mと高い値を記録している。パンケトーが無色透明の清澄な水色をしているのに対し、ペンケトーは周囲の湿地環境の影響を受けていると思われ、若干腐植水様の色をしている。腐植物質の影響を受けているためか、CODは1~3 mg/L程度と、1 mg/L前後を示すパンケトーよりも若干高い値となっている。

2023年のTNとTP濃度はそれぞれ0.08と0.007 mg/Lであり、パンケトーと同様貧栄養レベルである。調査回数が少ないものの、栄養度について1990年代から明確な変化は見られていないようである。2023年のChl-a濃度は1.5 μg/Lであり、過去の測定値の範囲内であった。

2023年8月の水質鉛直プロファイルでは、水温は水深2 m付近から10 m付近にかけて急激な低下(水温躍層)が見られ、上層で高水温、下層で低水温の成層構造が見られた。溶存酸素は水深8 m付近で明確なピークが認められ、飽和度120%の過飽和を示した。パンケトーや他の貧栄養湖と類似したプロファイルを示したが、ペンケトーでは最深部の溶存酸素が1%を下回り、最深部でも30%弱あったパンケトーよりも強い貧酸素が特徴的であった。

ペンケトーの湖面とその集水域は阿寒摩周国立公園に含まれている。国道241号線沿いの双湖台という展望台から、眼下に全景をよく望むことができる。

水質データ(表層)
調査日 地点 全水深
[m]
透明度
[m]
pH Cl-
[mg/L]
アルカリ度
[meq/L]
DO
[mg/L]
COD
[mg/L]
TOC
[mg/L]
TN
[mg/L]
TP
[mg/L]
Chl-a
[μg/L]
1990 St-1 2.2 0.07 <0.003 2.8
1991-06-27 St-1 11.3 7.3 1.8 0.480 9.4 0.9 1.0 0.04 <0.003 1.3
1998-10-14 St-1 41.0 5.8 8.0 0.433 11.0 3.1 1.4 0.16 0.008 3.4
2023-08-22 St-1 39.1 6.0 7.9 3.09 0.426 8.2 1.8 0.08 0.007 1.5
調査地点図
集水域の土地利用
栄養度の推移(表層)
水質鉛直プロファイル

[1] 和田恵治,2017.後カルデラ火山、雄阿寒岳と阿寒湖沼群の成り立ち.釧路叢書 第37巻 The Great Nature of Akan 阿寒の大自然誌,佐藤謙・日野修次・和田恵治・若菜勇[監修]:17–28.釧路市教育委員会,釧路.

[2] 環境省生物多様性センター.自然環境調査Web-GIS(第6-7回自然環境保全基礎調査,1/25,000植生図).URL: http://gis.biodic.go.jp/webgis/(2022年6月2日取得)