阿寒・摩周の湖沼
釧路、十勝、オホーツクの3つの総合振興局にまたがるこのエリアは、雄阿寒岳や雌阿寒岳などの著名な山などが連なる道東中央部の山岳地帯である。知床岬から雌阿寒岳にかけて北東-南西方向に伸びる山岳地帯は、第四期更新世以来多くの火山が活動を繰り返してきたところであり [1]、日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖、日本一の透明度を誇る摩周湖、マリモで有名な阿寒湖をはじめ、火山活動によって形成された、大小多くの湖沼が存在する。
エリアの地形・気象など
このエリアの地形を特徴付けるのはカルデラの存在である。阿寒湖沼群がある阿寒カルデラ(24×13 km)、屈斜路湖がある屈斜路カルデラ(26×20 km)、摩周湖がある摩周カルデラ(7.5×5.5 km)が隣接しており [2]、それぞれの湖沼(または湖沼群)を中心とした盆地状の地形をしていることが、エリアマップの陰影図から見て取れる。カルデラ形成時の火山噴出物は、北見・網走地域や斜里地域の台地、根釧地域などに広く分布している [3]。カルデラ形成後の火山活動によって、湖が堰き止められたり、一部が埋め立てられたりして、現在の多様な湖沼群が形成された。
北海道の中でも寒冷なエリアであり、年平均気温(平年値)は、川湯で4.7℃、阿寒湖畔で4.3℃となっている [4]。冬季には阿寒湖、摩周湖、屈斜路湖などの湖面は結氷する。また、屈斜路湖の御神渡りをはじめ、ダイヤモンドダストや樹氷など、極地特有の現象を見ることができる [5]。夏季の日照時間は比較的短い。摩周湖は歌にも詠まれるほど夏に霧が多いことで知られ、釧路沖で発生した霧が運ばれてきたものや、放射冷却などによって湖周辺の空気が冷やされてできたものがある [6]。年降水量(平年値)は、阿寒湖畔で1197.9 mm、川湯で962.2 mm、津別で787.1 mmであり [4]、津別は北海道の中でも少ない方である。
湖沼の紹介
水質データ更新・UAV撮影画像
UAV撮影画像
[1] 小疇尚・福田正己・石城謙吉・酒井昭・佐久間敏雄・菊地勝弘[編集],1994, シリーズ 日本の自然 地域編 1 北海道, 岩波書店, 東京, 192p.
[2] 長谷川健, 2017, 阿寒火山におけるカルデラの成り立ち, 釧路叢書 第37巻 The Great Nature of Akan 阿寒の大自然誌, 佐藤謙・日野修次・和田恵治・若菜勇[監修]: 3–15. 釧路市教育委員会, 釧路.
[3] 小疇尚・野上道男・小野有五・平川一臣[編集], 2003, 日本の地形2 北海道, 東京大学出版会, 東京, 384p.
[4] 気象庁, 過去の気象データ. URL: https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php(2025年1月6日時点)
[5] 環境省, 2017, 阿寒摩周国立公園指定書. URL: https://www.env.go.jp/park/akan/intro/files/plan_akan_5th.pdf(2025年1月6日時点)
[6] 山口高志, 2018, 摩周湖外輪山の樹木減少について. 樹木医学研究, 22: 59-66. https://doi.org/10.18938/treeforesthealth.22.1_59