次郎湖
Lake Jiro
所在地 (Location) | 釧路市(阿寒地区) (Kushiro City) |
成因 (Origin) | 堰止湖 (dammed lake) |
湖面標高 (Elevation) | 429 m |
湖面積 (Surface area) | 0.05 km2 |
最大水深 (Max. depth) | 3.0 m |
容積 (Volume) | 13.7 ×103 m3 |
集水域面積 (Watershed area) | 1.22 km2 |

左が次郎湖(中央は太郎湖、右は阿寒湖の東端)。湖の南西から北東方向を撮影。太郎湖と次郎湖の間に雄阿寒岳の登山道が通っており、登山道から両湖を見ることができる。(2023年10月26日撮影)
次郎湖(ジロウコ)は、太郎湖の北方約150 mの位置にある小さな堰止湖である。およそ13,000年前までの雄阿寒岳の火山活動によって、雄阿寒岳の南側の火口壁が崩壊して岩屑なだれが発生した。太郎湖や次郎湖などの湖沼は、この時形成された多数の流れ山の凹地に形成されたと考えられている [1]。
次郎湖は湖面標高は429 mと太郎湖(412 m)よりも約17 m高い位置にある。湖面積は0.05 km2と太郎湖よりやや大きい。最大水深は3.0 mと比較的浅く、上空からも湖底が見える(上写真)。湖の西側(阿寒湖側)は比較的浅く、比較的平らな湖底形状をしている淡水湖である。
湖の東側は雄阿寒岳の急峻な裾野であり、西側は湿原になっている。次郎湖には、流入河川及び流出河川は存在しない。集水域の土地利用は、森林が全体の約9割を占め、その多くはダケカンバ-エゾマツ群落やアカエゾマツ群集などの自然植生である [2]。
2022年8月に水深2.2 m地点で行った調査では、透明度は全透(底まで見えた状態)であった。1991年6月の水深2.0 m地点での調査でも全透が記録されている。
2022年のTNとTP濃度はそれぞれ0.14と0.031 mg/Lで、TNが貧栄養レベルであるのに対し、TPは富栄養レベルであった。次郎湖のTP濃度は太郎湖(0.013 mg/L)の2倍以上高い。1991年の調査でもTPが0.049 mg/Lと高い値を示していることから、次郎湖は集水域の人為的な汚染源が無いにも関わらず、TP濃度が比較的高い特徴がある。一方、Chl-a濃度は0.3 μg/L未満と、太郎湖に比べて低い。
2022年8月の水質鉛直プロファイルでは、水深0.3~0.4 m付近で水温の大きな低下が見られ、弱い温度成層が確認された。溶存酸素は水温と同様の変化を示し、底層の飽和度は50%弱であった。また、表層の溶存酸素は70%弱と比較的低いのが特徴的であった。
次郎湖の湖面とその集水域は阿寒摩周国立公園に含まれている。次郎湖の東側に敷設された登山道は、太郎湖から続く雄阿寒岳登山コースの一部となっている [3]。
調査日 | 地点 | 全水深 [m] |
透明度 [m] |
pH | Cl- [mg/L] |
アルカリ度 [meq/L] |
DO [mg/L] |
COD [mg/L] |
TOC [mg/L] |
TN [mg/L] |
TP [mg/L] |
Chl-a [μg/L] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1991-06-26 | St-1 | 2.0 | >2.0 | 7.6 | 12.3 | 1.021 | 7.6 | 0.8 | 0.5 | 0.24 | 0.049 | 0.19 |
2022-08-23 | 湖心 | 2.2 | >2.2 | 7.6 | 27.0 | 0.938 | 6.8 | 0.98 | 0.14 | 0.031 | 0.29 |
[1] 和田恵治,2017.後カルデラ火山、雄阿寒岳と阿寒湖沼群の成り立ち.釧路叢書 第37巻 The Great Nature of Akan 阿寒の大自然誌,佐藤謙・日野修次・和田恵治・若菜勇[監修]:17–28.釧路市教育委員会,釧路.
[2] 環境省生物多様性センター.自然環境調査Web-GIS(第6-7回自然環境保全基礎調査,1/25,000植生図).URL: http://gis.biodic.go.jp/webgis/(2022年6月2日取得)
[3] 環境省.国立公園に、行ってみよう!阿寒摩周国立公園 雄阿寒岳登山コース.URL: https://www.env.go.jp/nature/nationalparks/list/akan-mashu/course/02/(2024年10月28日時点)