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道南農業試験場

Q&A「野菜一般」について

種類 質問内容 回答要旨
トマト  茎が太くなって頭の葉が捩れ、1、2段果房が着果しません、どのように管理したらよいのですか。  最も大きな要因は、若い苗を定植したためで、ホルモンの働きで生育が栄養生長過多に成ったこと、それと土壌中に養分と水が豊富にあったことが、さらに助長させたものと考えられます。
トマトは1段果房の花が2個程度開花するまで苗で育ててから定植します、また、基肥はおさえ、3段果房の開花始めに追肥をします。1回の追肥量は、窒素とカリを10アールあたり3~5kgが適量です、樹勢が旺盛な場合いは、次の果房の開花始めにずらします、さらに旺盛な時はまた次の果房えとずらしていきます、樹勢が落ち着いて来たときが適期です。
トマト  トマトの花落ち部が黒くへこみ落果しました、対策を教えてください。  「尻腐れ果」」と呼ばれ、石灰欠乏が原因ですが、多くの場合土壌中の石灰が不足して発生するのではなく、養分吸収のアンバランスとりわけ、窒素の過剰吸収は最も多い原因のひとつです。また、土壌が乾燥した場合にも発生します。対策としては、窒素質肥料を控えめにし樹勢を正常に保ち、こまめに灌水してください。
トマト  初めてトマトを露地で栽培していますがうまくいきません。整枝法と誘引法をおしえてください。  トマトの苗は80cmの巾で50cm間隔に植えます。そのとき花が外側にくるようにします。そのようにしますと、その後すべての果房が外側になります。葉の根元から側枝がでますが、すべで除去し主枝1本仕立てとします。
植えた苗の内側に160~180cm位の手竹を地面にしっかりさして4本ずつ上部20cm位の所で交差させて、その部分を強い紐でしっかりと結びます。苗が大きく成るに伴い果房の上の葉と葉の間を手竹に乗せるようにして、緩めに紐で結び固定します。
なす  枝が多く出て倒れる枝も出ます。始めは良く成るのですがだんだん成らなくなります、作りかたを教えてください。  なすは葉の根元から必ず1本の側枝がでます。始めは細い枝が出ますが、5~6枚めの葉からは、続けて太い枝が3本でます。この3本を主枝として残し、下の枝は摘除し、この3本の主枝は支柱を立て誘引します、主枝からでる枝にナスは成りますが2個ほど成らせるとその枝の芯をとめます。
なす  なすが成りだすと所どころ葉が枯れだします。どのようにしたらよいのでしょうか。  調べてみないと正確には分かりませんが、多分バーテイシリウム菌による「半身委凋病」と言う土壌病害だと思います。対策は、(1)連作をさけ、病気を持たない土で育てた苗を植えます、(2)土壌消毒をおこないます、(3)耐病性台木を用いた接ぎ木栽培、等があります。なす栽培の原則は無病苗を用いて連作をしないことです。土壌消毒は効果はありますが2~3年でまた発生します、接ぎ木栽培は近年、台木、接ぎ木方法ともに改良が進み大変有望です。これには、接ぎ木直後活着させる「養生器」や資材器具が必要です、実施する場合いは相談してください。
家庭菜園で数本栽培する場合いの良い方法を教えましょう。肥料を使用した後の袋に、無病の土と堆肥、肥料を混合して詰めます。底に穴をあけてから地面に埋め込み、これに苗を植ます。5本も植えますと十分たべられます。栽培中は乾きやすいので、良く水やってください。
かぼちゃ  苗は良く出来たのですが移植後初期生育が不良で収穫が遅れ収量も少な目でした。どうしたらよいのでしょうか。  原因はいくつか考えられます。(1)苗が定植適期を過ぎた大苗になっていた、(2)苗の管理で灌水過多にしたため体は大きいが根張りが悪い苗になっていた、(3)定植するベットの施肥量が多過ぎて根が肥料やけをおこした。
かぼちゃは発芽時に比較的高い温度を必要としますので、促成栽培では苗を作りトンネルに定植する栽培法が一般的です。苗の特性として根の吸水、吸肥力が弱く、肥料焼けし易い性質をもっています。育苗時にはできだけ灌水量を少なく管理して根張りをよくします。本葉50~60パーセント展開時までが定植適期で、大きく成ればなるほど活着はわるくなります。ベッドは肥料を控えめに全層施肥します。早めにトンネルをかけて十分地温をあげてから適期の苗を定植すると良いでしょう。
かぼちゃ  生育は大変良いのですが、着果しません。特に初期では雌花は咲きますが雄花が咲きません。どうしたら良いのでしょうか。  かぼちゃは、初期では樹勢が強いと栄養生長に偏った生育を示し、樹勢が落ち着くまでは着果しない性質をもっています。雄花が後から咲くのもその性質のためです。かぼちゃ栽培のコツは、基肥を少なくして着果してから追肥をします。道の施肥基準は10アール当たり窒素8kg、リン酸10kg、カリ8kgでその内60パーセントが基肥で、40パーセントは着果してから追肥する事になっています。
はくさい  春先、農家から余った苗をもらい、トンネルをかけて植えたのですが、全部トウがたちました。どうしてでしょうか。  はくさいは生育の前般で低温にあうと花芽が分化してトウ立ちがでます。この傾向は作物体が小さいほど、低温は低いほど強い影響をうけます。定植直後の場合5℃では10日以上でトウたちがでる株が発生します、農家ではハウスで栽培する苗をトンネルで育てたため、温度が上がらなかったためと考えられます。トンネル栽培は道南地方で4月中旬以降が無難です。それでも天気予報で低温予報がでる夜は、コモかけなど保温につとめます。
ほうれんそう  ほうれんそうなどの野菜の品質では、栄養・おいしさ・安全性が大切と思いますが、その指標は何々でしょうか?  ホウレンソウの品質では、栄養の面からビタミンCが多いこと、安全性の面からは硝酸が多すぎないことが大切です。ホウレンソウの大事な成分のカロテンは、ビタミンCが多いほど多くなるという正の相関関係があります。
なお、トマトでは、おいしさの面から糖度の高いこと、ならびに糖酸比が適当なことが大切です。
バジル  バジルの苗を買ってきて植え付けているのですが、何度やってもすぐに茶色くなって枯れてしまいます。どうしてですか?  バジルは、シソ科メボウキ属、和名はメボウキ、熱帯アジア、アフリカ、太平洋諸島などに広く分布する一年生草です。インド、マレーシア原産で、高温を好む植物です。
生育適温は25℃程度といわれており、15℃~20℃では生育が極めて悪いか、緩慢になり、ひどい場合には枯れてしまう事があります。このため、ヨーロッパでも地中海沿岸など夏季の気温が高い地域では栽培が多く、イギリス、ドイツではほとんどありません。
ご質問者がどちらにお住まいで、何月頃に苗を植えつけたかにもよりますが、(バジルにとって)低い気温に遭遇したために枯れたというのが一番妥当と思われます。
他に枯れこむ原因としては、(1)花穂が結実した(2)土壌が過湿になった、等が考えられます。ご自宅の状況と照らし合わせて、参考にしてください。
だいこん  雪が解けたのでだいこんの種を蒔いてトンネルを掛ました、ある程度大きく成ったのですがほとんどトウがたってしまいました、どうしてでしょうか。  だいこんは種子が吸水を始めた時点から低温に遭遇すると花芽を分化させます。品種によって異なりますが、10℃以下の日数が積算で15日以上になるとトウ立ちが発生する株が多くなります。低温に早くから当てますと、小さい内にトウがたって食べられなくなります。
トウが立ちづらい品種としては「時無しだいこん」が有りますが、味はあまり良い方ではありません。道南ではトンネル栽培は春蒔き用品種を用いて4月以降が無難です。3月中に播種する場合は、早めにトンネルをかけて地温を上げ、温度が低くなる夜間にはコモかけする等の注意が必要です。
だいこん  夏に多いのですがスが入いります、防止する方法はありませんか。  ス入りの原因はいろいろ説がありますが、生理障害のひとつです。発生のパターンとしては(1)夏どりに多い、(2)生育が旺盛なものに多い、(3)収穫が遅れた場合に多い、以上がよくある場合です。これらを避けると十分防止することができます。
(1)肥料は少なめにして、適正な栽植密度で栽培します。  (2)適期収穫を心がける事が大切です。  (3)夏取りの場合は生育がよく早く太くなったものから、2回から3回に分けて収穫します。
家庭菜園の場合は、こまめに播種して、あまり大きくしないうちに食べるようにします。
だいこん  だいこんの種子やにんじんの種子はどうやったら穫れるのですか教えて下さい。  だいこんやにんじんの種子は種子を専門に作っている農家や会社で売っており、いつも食べているだいこんやにんじんを作っている農家では種子は作っていません。
普通の農家のだいこんでも気温が低くなると、種子の元となる花芽ができます。その花芽が大きく伸びて、花が咲いて種子となるのです。花芽が大きくなるためにはだいこんの栄養分を使いますので、だいこんがやせ細ってたくさん穫れなくなります。ですから、だいこん農家は花芽や種子ができないように注意して作っています。一方、種子を売っている農家や会社は花芽が出来やすい低い気温にわざわざ合わせて種子を作るのです。
簡単にいえば、みんなが食べるだいこんは、種子のできる前のだいこんです。収穫しないでほおっておくと花芽や種子ができるだいこんとなるのです。
ばれいしょ  去年とれたいもを植えたところ、葉が緑と黄緑のモザイク状で縮れて大きくならない株がたくさんでました。なぜでしょうか。  今年植えた種いもには、ウイルス病にかかっていたいもが多数含まれていたことが原因です、種いもは地元の農協に注文して購入すると良いでしょう。
ばれいしょ  草丈が腰までも伸びて立派になったのですが、いもはさっぱり成りませんでした。肥料がききすぎたと思います。肥料のやり方をおしえてください。  ばれいしょは花が咲いた時点で生長が止まり、それからゆっくりと枯れてゆくのが理想的な栽培です。肥料が多すぎると、花の下の茎からまた茎が出てさらに花を咲かせます。このような生育をすると、いものデンプン含量が低下しておいしくないいもができます。程度が強いといもの肥大までも抑制されます。
ばれいしょの施肥量の道の基準は、道南地方の低地土で10アール当たり窒素8kg、リン酸14kg、カリ11kgです。一般に家庭菜園は良く肥えていますので、少なめに施肥するのが良いとおもいます。
ばれいしょ  京都府の家庭菜園でばれいしょをつくりました。大きないもが出来ましたが、中が「黒く空洞」が有ります、その部分を切り取り除けば味は良いのですがなぜでしょうか。  元中央農試の浅間氏によるジャガイモ博物館に記載されています。本症状について発生原因と防止対策が記されていますのでご参照願います。以下に抜粋します。

「中心空洞と呼ばれるもので、病原菌は関係していません。高温乾燥の後に大雨がきて急速に肥大したり、マルチ栽培で地温が上がりすぎたり、茎の数が少なくいもの数が少なくて大きくなったりすると出やすい。「男爵薯」、「トヨシロ」、「エニワ」ではよく見られますが、「ワセシロ」、「ホッカイコガネ」、「キタアカリ」などでは発生が少ない。」

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