気象庁によると、今年(2005年)の8月は、全国的に気温が高く、北海道では8月の平均気温は平年より1～2度高く経過しました。ここ余市でも近くの海水浴場がお盆過ぎまでにぎわっていました。漁業や水産関係者にとっては水温も気になるところですので、ここでは、8月の余市前浜沿岸水温について見てみました。

  図には、8月の月平均の余市前浜沿岸水温と、中央水試の百葉箱で計っている8月の月平均の最高気温の経年変化を1960年から示しました。今年2005年の8月の月平均水温は22.7度で、8月の平年値（1971～2000年の8月の平均値）22.3度より0.4度高い水温となっていました。月平均の最高気温は、26.6度と8月の平年値25.3度より1.3度高い気温となり、最高気温と平均気温の違いはありますが、気象庁の発表と同様の結果となっていました。

  経年変化についてみると、水温は記録的な冷夏であった1993年では19.7度と20度以下となっていますが、ほぼ20～24度の間で変化しています。また、最高気温は水温より平均して約2度高く、変動の幅も22～29度と水温より広くなっています。経年変化の傾向では、最高気温の水温も同じ様な変化傾向を示していることから、8月の水温は気温によって大きく左右されると言えます。

  さて、水温の経年変化を注意してみると、5～6年程度の周期で高温と低温を繰り返しているように見えます。この周期性が続いていると仮定すると、前回の高温年である1999～2000年から5、6年経過したここ1，2年が高温年に当たります。周期性だけから予想（予測でも予報でもありません。念のため。）すれば、8月の水温（気温）は来年度以降、低温傾向となるかもしれません。

来年の予想までは大変困難ですが、代わって現在の水温状況を早く発信するため、従来からの余市前浜の沿岸水温のホームページに加え、2004年6月からは余市前浜の沿岸水温の携帯サイトを試験運用しています。この度、9月1日からURLを新しくして、正式運用としました。

更新頻度は旬平均値なので約10日間隔となっています。名付けて、旬？（準）リアルタイム水温です。インターネット上には、「今の水温」が分かるリアルタイム水温情報がたくさんあるようですが、この携帯サイトの旬リアルタイム水温のセールスポイントは、1971年から2000年までの30年間の平年値と比較ができることにあります。「旬リアルタイム」ではありますが、60年を超える歴史的データがあるからこそ言える水温評価を加えて情報発信中です。「ここ1ヶ月の水温はどんな推移をしているの？」と手軽に携帯サイトにお立ち寄り下さい。画面はパケット代に優しい文字（テキスト）のみで構成しています。

（中央水試海洋環境部　中多　章文・澤田　真由美）