水産研究本部

試験研究は今 No.554「計量魚群探知機の船間較正・・・調査船ごとの計量魚探データの違いは~・・・」(2005年9月26日)

試験研究は今 No.554「計量魚群探知機の船間較正・・・調査船ごとの計量魚探データの違いは?・・・」(2005年9月26日)

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はじめに

  計量魚群探知機(以下「計量魚探」)は超音波を使って水中の魚の数や量、大きさを推定することができる高性能な魚群探知機です。北海道水試の4隻の調査船(おやしお丸、金星丸、北辰丸、北洋丸)には計量魚探が搭載され、スケトウダラなどの資源量推定調査などに活用されています。

  計量魚探のデータは音響特性が異なるために船ごとに差が生じてしまいます。2隻以上の調査船で広い海域を分担して調査することがあります。そのため、船による差がどのくらいの大きさなのか?調べる必要があります。そのために船間較正という作業を行う必要があります。

  船間較正というと難しく聞こえますが、簡単に言いますと、各船の計量魚探で同じターゲット(魚群や海底など)を測定して、補正のためにその結果を比較することです。

  今回は北海道水試の3隻の調査船の計量魚探で同じ魚群を測定して比較しました。

方法

  船間較正は2003年5月に道西日本海の岩内沖で、稚内水試の北洋丸(SIMRAD社製 EK500)、中央水試のおやしお丸(古野電気(株)製 FQ-70)、函館水試の金星丸(SIMRAD社製 EK60)の3船で実施しました(カッコ内は計量魚探の機種名)。

  事前に中層に濃い魚群が分布している海域を捜しておいて、その魚群が含まれるように東西に調査線を設定しました(図1)。

  計量魚探データは調査線上を8ノットで航走して収録しました。3船は1マイル間隔で縦に並んで航走し、各船の条件を同じにするため計量魚探の設定は統一し、調査線を1往復するごとに船の順番を変えて合計3往復しました。図2はこのときのエコグラム(反応図)の例です。

  調査線を3往復して得られたデータは、それぞれ往路(東から西へ航走)と復路(西から東へ航走)に分け、それぞれの航跡別に魚群の測定値(SAと言います)を求めて各船で比較しました。
    • 図1
    • 図2

結果

  北洋丸を1としてSAの平均値を比較しますと、おやしお丸:北洋丸:金星丸の比はおよそ1.2~1.9:1:0.6~0.7となりました。測定値はおやしお丸では常に他の2隻より大きく、金星丸では他の2隻より小さくなりました。船の順番を変えてもこの傾向に差はありませんでした(図3)。

  計量魚探の超音波に影響を与える要因としては船が航走することによって発生する泡やノイズが考えられますが、今回の原因についてはまだ詳しいことは分かっていません。

  今後は何故このような違いが出たか?の原因を探っていきたいと思います。
(中央水産試験場 資源管理部 本間 隆之)
    • 図3

      ※1回目の往路ではひとまとまりの魚群データを収録できなかったので解析に使わなかった

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