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林業試験場

季報平成11年度

光珠内季報-平成11年度-


No.118
(2000.3)
グイマツ雑種Fの低密度植栽の可能性 (PDF,746KB) 八坂通泰 p.1~4
品種改良により通直性や耐鼠性が向上したグイマツ雑種F1について現在よりも植栽本数を減らした低コストな育林システムを 検討した。F1をヘクタール当たり1000本で植栽すると,通常の植栽本数に比べ少なくとも2割のコスト削減が可能であるが, 枝の数や太さの増加によって,より大きな節が数多く形成されることが懸念された。この対策として樹高8m時に4mまで枝を 落とす早期枝打ちが考えられる。
森と水の関わり(2)-森林がもつ水源涵養機能- (PDF,506KB) 佐藤弘和 p.5~9
森林流域内に降った雨水が渓流となって流域外へ流出する間に変化する水質特性を明らかにするために,広葉樹林流域において, 林外雨,林内雨,樹幹流,湧水,渓流水のpHと無機態窒素イオンを調べた。その結果,広葉樹林流域では,酸性雨を中和する 機能と無機態窒素イオンの過剰流出を抑制する効果が見られた。森林がもつ水源涵養機能には,このような「水質保全機能」と, 前報で報告した洪水緩和と渇水緩和機能をあわせた「流出の平準化」がある。
河畔林造成に適する広葉樹 (PDF,454KB) 長坂 有 p.10~13
河畔における広葉樹の利用適性を調べるため,北海道の代表的な河畔性広葉樹7種を,冠水の状況が異なる河畔に植栽した。 冠水耐性が強かったのはヤチダモで、サルグルミはやや強、オニグルミ、ハルニレが中程度であり、カツラ、オヒョウ、トチノキは 弱かった。これらにヤナギ類、ケヤマハンノキなど最も水没に強い樹種も加え,河畔における広葉樹の使い分けを提示した。
樹林帯で吹雪を防ぐ(2)-落葉樹林の意外な防雪効果- (PDF,523KB) 鳥田宏行 p.14~16
冬期間は葉を落とす落葉樹林は、いかにも風通しがよく,防雪林としては頼りなく見える。しかし,今回,防雪効果を調べた 結果,意外にも落葉樹林が防雪効果を発揮していることがわかった。今後,防雪効果の高い常緑樹と組み合わせるなどして, 多様性をもった防雪林の造成が可能となるであろう。

No.117
(1999.12)
バギー車を利用した間伐作業 (PDF,1.25MB) 木幡靖夫 p.1~6
小規模林分における間伐作業の促進等を図るため,バギー車を利用した間伐作業システムを開発した。トレーラなどの アタッチメントを利用することにより短幹あるいは全幹作業システムが可能であり,小規模作業ではトラクタによる従来方式と 比べても遜色のない生産性が得られた。
森と水の関わり(1)-森林から流出する水のお話- (PDF,278KB) 佐藤弘和 p.7~12
森林がもつ水源涵養機能を調べるために,流域面積9.2haの広葉樹林流域で渓流流量などの連続観測を行った。その結果, 1年間の渓流流出量の約7割が融雪流出期間である3~5月に流出すること,降雨流出と融雪流出の特徴から,降水の大部分が 浸透能の高い森林土壌にしみ込み,緩やかな増減水を示す地中流出成分となること,無降雨時には,蒸発散による影響が夏期の 渓流流量変化に大きく反映されていたことがわかった。
樹林帯で吹雪を防ぐ(1)-防雪林の吹雪の捕捉過程と
その効果-
(PDF,550KB)
鳥田宏行 p.13~15
狭い林帯の防雪機能を明確にするため,アカエゾマツを3列千鳥状に植栽し,林帯周辺の風速,飛雪流量,積雪深を観測した。 その結果,防雪林が吹雪を捕捉する過程が示され,林帯から3H(H:樹高)風下では,飛雪流量の大幅な減少が観測された。
野ネズミの好き嫌いと樹木成分 (PDF,178KB) 中田圭亮 p.16~19
野ネズミ被害の有無と樹皮成分量の違いは一致していた。石油エーテルやジエチルエーテルによってカラマツの樹皮成分を 抽出すると,無被害木からの抽出量は被害木より多く,またネズミの被害を受けやすい冬季にその差は大きかった。

No.116
(1999.9)
林業試験場が平成11年度に取り組む試験研究のあらまし p.1~9
渓流釣りを長く楽しむには-当別町一番川地区での
アンケート調査の結果から-
(PDF,560KB)
佐藤孝弘 p.10~13
アンケート調査から,河川と森林の保全や魚の保全を考慮した河川管理が重要であることが再確認された。また,魚資源の持続に 必要なルールづくり(体長制限・尾数制限等)や放流事業への関心も高く,さらに,これらの財源となる入漁料にも理解を示す 回答者が多かった。森林レクリエーションとしての遊漁に関する問題解決には,河川を取り巻く森林とそこに棲む魚,そしてそこを 訪れる人について多面的な調査・研究を展開していく必要がある。
萌芽更新を利用した広葉樹林の施業 (PDF,89KB) 佐藤俊彦 p.14~17
これまでに報告された研究や文献から,広葉樹の萌芽更新を森林施業において活用していく際の留意点や今後の課題について まとめた。課題としては,ミズナラ以外の樹種について萌芽の情報を集積していくこと,また地上部更新のための萌芽や, 根萌芽についても知見を集めていくことが重要であると考えられた。
樹木だより・ハリギリ (PDF,427KB) 佐藤 創 p.18~20
「緑化樹センター」が設置される-緑化樹に関する情報研究,
普及の総合拠点をめざして- (PDF,252KB)
鈴木勝夫 p.21

No.115
(1999.6)
ツツジ・シャクナゲ類の病気の見分け方と防除 (PDF,980KB) 秋本正信 p.1~6
北海道で,ツツジ類,シャクナゲ類,ドウダンツツジ類に発生する15種の病気について,その症状と防除法を解説した。
道東地方の天然林におけるエゾシカ被害-浜中町での
調査事例から-
(PDF,791KB)
寺澤和彦 p.7~12
最近エゾシカの生息密度が増加した針広混交林において、エゾシカによる稚幼樹の枝葉食害や幹の被害などを調査した。広葉樹は 稚幼樹の枝葉の食害本数率が高く、食害を受けた個体は樹高成長が阻害されていた。トドマツは直径10cm程度までの小径木を 主体に角こすり、樹皮食害の被害をうけていた。
持続可能な森林経営のための取り組みを紹介する
遊歩道設置
(PDF,775KB)
対馬俊之 p.13~16
豊かで多様な森林生態系と木材生産との調和のとれた森林施業の事例を、一般の方々に分かりやすく紹介する簡易な遊歩道を 岩見沢道有林管理センター内に設けた。住民合意を前提とした林業サイドからの情報提供の手段として有効と考える。
ヒノキアスナロ苗木の大量生産をめざして(2)-ジベレリン
処理により生産した種子の品質と採種の適期-
(PDF,329KB)
今 博計 p.17~20
ジベレリン処理により生産したヒノキアスナロの種子は、高い稔性と発芽力を持つ品質の良いものであることが分かった。また、 成熟した種子の採種は種子落下の1ヵ月半前から行うとができ、球果の色が緑褐色に変化した時期に行えば良いと言える。