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林業試験場

光珠内季報-平成16年度-

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平成16年度(No.135~No.138)

No.138号(2005年2月発行)

  • 早採り法によるハリギリ種子の発芽促進(PDF:66KB)
    佐藤 創
    P1~2
    ハリギリは種子が熟してから採り播きすると発芽まで2年かかる。これを,果実の色が緑色の未熟な段階で採り播きすることに
    より,1年で発芽させる方法を明らかにした。
  • ウダイカンバ衰退原因の解明に向けて(2)-食葉性昆虫に食害された後の当年生枝の枯死パターン-(PDF:137KB)
    大野泰之
    P3~6
    興部地方で報告されているウダイカンバの衰退原因を明らかにするため,当年生枝の枯死に及ぼす食害の影響を調査した。壊滅
    的な食害を受けた枝では,食害から一月が経過した夏期に新しい葉を生産したが,高い枯死率を示した。このことから,樹木-
    環境との間に季節的なギャップが枝の枯死に影響したものと考えられた。
  • 空知地方のトドマツ人工林におけるエゾシカ角こすり被害(PDF:120KB)
    南野一博
    P7~10
    空知地方のトドマツ人工林においてエゾシカの角こすり被害について調査した。その結果,広範囲に被害が発生しており,特に
    空知南部で被害率の高い林分がみられた。また,小径木が被害を受けやすい傾向があった。空知地方でエゾシカが増加している
    ことから,今後も被害が発生し続けることが予想される。
  • アオダモの萌芽更新を成功させるには?(PDF:150KB)
    滝谷美香
    P11~15
    バット材として利用されているアオダモの天然更新を促進するために,萌芽更新を考慮することは重要である。なぜならば,実
    生更新よりも成長が早いし,種子の豊凶に左右されないからである。アオダモの萌芽は,伐採や風倒などにより地上部が消失し
    た場合,また林冠上層の個体が疎開されて林内の光環境が改善された場合に発生しやすくなるということがわかった。
  • 都市近郊森林の保健機能の評価 -森林の被視頻度に着目して-(PDF:84KB)
    佐藤孝弘
    P16~20
    北広島市を対象に「被視頻度」「居住地の人口」「居住地と森林間の距離」を考慮した手法で森林の保健休養機能の中の景観を
    構成する役割について評価を試み,北広島市の森林景観の中で重要な役割を持つ森林の所在とその状況を明らかにした

No.137号(2004年12月発行)

  • 2004年台風18号被害に関する調査速報(PDF:266KB)
    P1~12
    台風18号の森林被害に関する調査速報として,全道の森林被害と風速の分布,森林被害の特徴,山林や防風林,市街地の緑化樹
    木等の被害事例調査について,現時点での調査結果を報告する。また,これまでの関連した試験研究の成果をとりまとめて,台
    風被害後のキクイムシ類の被害と防除および森林再生方法試案を提案する。
  • 針葉樹の樹幹腐朽 -エゾシカによる剥皮被害との関係-(PDF:98KB)
    徳田佐和子
    P13~17
    針葉樹3種(トドマツ,アカエゾマツ,カラマツ)について,エゾシカによる剥皮被害とそこから始まる樹幹腐朽について調べ,
    ①剥皮部から腐朽する理由,②剥皮の状況と腐朽のしかた,③腐朽の程度,④樹種による違い,などについて解説した。また,
    エゾシカ被害木を抱える森林所有者のために,腐朽程度・収穫時期を判断する方法を提示した。
  • 繁殖期の野鳥の採餌樹種について -樹種による餌量の違いと採餌方法の違いから考える-(PDF:135KB)
    雲野 明
    P18~22
    繁殖期における野鳥の採餌場所としての樹種利用を調べると,鳥は様々な樹種を利用していた。樹種利用は各樹種の餌密度で説
    明できる部分があったが不十分であった。鳥の採餌方法を検討した結果,樹木の枝や葉の構造による餌の捕りやすさも樹種利用
    に影響を与えているようであった。

No.136号(2004年10月発行)

  • 絶滅のおそれのある樹木クロミサンザシの保全へ向けて(PDF:1.79MB)
    八坂通泰
    P1~6
    本道において絶滅のおそれが高いクロミサンザシについての自生地内および自生地外での保全技術開発のための取り組みについ
    て紹介した。自生地内の保全については,保全対策を効率的に進める上で欠かせない生育環境や個体群動態に影響を与える要因
    を検討した。自生地外の保全については,種子による増殖方法や種子の保存性について明らかにした。
  • フリーフレーム施工地における木本導入試験(PDF:1.06MB)
    佐藤 創・真坂一彦
    P7~11
    フリーフレーム内の土嚢に広葉樹数種の植栽,および播種を行い,3生育期間の成長および生残を調査した。ミズナラ,カシワ,
    イタヤカエデに比べて,タニウツギ,エゾノバッコヤナギが成長が良く,平均樹高40cm程度に達した。
  • フェノロジカルギャップを利用したブナの更新(PDF:1.08MB)
    今 博計
    P12~16
    道南地方3カ所のブナ天然林でブナの更新状況を調べた。ブナ後継樹はブナ樹冠下やギャップに比べ,ブナ以外の他樹種の樹冠
    下に偏って出現した。ブナの更新にはササの存在が大きく関わっており,ササの一斉枯死を契機に更新していることがわかった。

No.135号(2004年6月発行)

  • 林業試験場が平成16年度に取り組む試験研究のあらまし
  • タネから育てる河畔林 -郷土樹種育苗のための種子取り扱い(2)-(PDF:61KB)
    長坂 有
    P9~14
    河畔に生育する様々な高木,低木について,種子の豊凶,採取適期,発芽特性,貯蔵方法,播種時の注意点等を紹介した。樹種に
    よっては数年に一度しか種子を確保できないものや,播種しても発芽に2~3年かかる樹種もあるため計画的に育苗することが
    重要である。
  • アロニア・メラノカルパを組織培養で増やす -千歳市森林組合との共同研究から-(PDF:115KB)
    脇田陽一
    P15~20
    果実が健康食品として今話題であるアロニア・メラノカルパを効率的に増殖する方法として,組織培養による増殖技術を開発し
    た。これにより,共同研究先の千歳市森林組合では,組織培養により半年間で約2万本の苗木を生産・販売することができた。
    こうした組織培養による樹木の本格的な生産・販売体制は,全国でも初めてのことである。