農業研究本部

バレイショ新品種「コナユタカ」の育成

大波正寿,藤田涼平,中山輝,萩原誠司,江部成彦,池谷聡,千田圭一,田中静幸,入谷正樹,伊藤武,竹内徹

道総研農試集報.106,1-12 (2022)

 「コナユタカ」は,地方独立行政法人北海道立総合研究機構北見農業試験場によって育成されたでん粉原料用品種で,2014 年に北海道の優良品種に認定され,2018年に品種登録された。「コナユタカ」は,「コナフブキ」へのジャガイモシストセンチュウ抵抗性の付与を目指し,2003 年に「根育38 号」を母,「K99009-4」を父とした交配後代より選抜された。第二次個体選抜ののち,ジャガイモシストセンチュウ 抵抗性及びジャガイモY モザイク病抵抗性のDNA マーカー検定を行い,抵抗性個体を選抜した。その後,枯ちょう期,収量,でん粉価により選抜し,育成された。「コナユタカ」は,枯ちょう期が「コナフブキ」よりやや遅い“かなり晩”で,ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し,上いも重及びでん粉重は同品種より多収である。また「コナフブキ」と同様にジャガイモY モザイク病に抵抗性を有し,でん粉品質は同等である。今後「コナフブキ」に替えて,でん粉原料用バレイショの安定生産に貢献することが期待される。


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